“日常からの解放”をテーマとするファインダイニング「レフェルヴェソンス」と、“日常の中の上質”を掲げる「ブリコラージュ ブレッド&カンパニー」がコラボ!dancyu祭限定の、国産小麦のパンと料理のセットを1Fキッチンカーにて味わえます。
「生まれ出る泡」「湧き立つ活気」の意味をもつ「レフェルヴェソンス」。人々が元気になれる場所を創造したいという思いが込められている。シェフの生江史伸さんは、フランスの名店「ミシェル・ブラストーヤ」や、イギリスの三ツ星店「ザ・ファットダッグ」で研鑽を積んだ人物。都心にありながら静寂で穏やかな空気で満ちる空間、目の前にサーブされる実験的な料理は、“日常からの解放”を体験できる貴重なレストランである。
かたや「ブリコラージュ」は、パンと料理とコーヒーというごく日常的な食べ物でありながら、国産小麦やスペシャルティコーヒーといった上質なものを提供することを掲げるカフェである。
この2店は、「非日常」と「日常」という相反する店のようでいて、実はその芯は共通している。それは、どちらも良い食材をつくる生産者とつながっていること。
たとえば「レフェルヴェソンス」は、1コースのなかで30前後の生産者の素材を料理する。よりよい素材を求め、時には現地に赴いて交流を深めた結果、これだけの人々とつながったのだ。「ブリコラージュ」においては、パンに使う小麦は国産のみ。「手をかけて育てられた、素直な味わいの素材を提供しよう」という考えはぶれることはない。これは、両店の料理を手がけるシェフ、生江史伸さんの考えそのものでもある。
今回の「dancyu祭」では、「レフェルヴェソンス」の料理と「ブリコラージュ」のパンを合わせ、その考えを体現した料理を提供する。
提供するパンと料理のセットは3種ある。いずれも、「dancyu祭」でだけ味わえるメニューだ。
しっとりとした食感ともっちりとした弾力のチャバタは、ローストビーフをサンドする。「噛みごたえのあるパンなので、同じく噛みしめるほどに旨味がでる肉と合わせたかったんです」と生江さんは言う。パンにはレストランでも使っている豆腐サワークリームを塗り、赤ワインのソースには味醂、醤油を用い、仕上げに山椒オイルをかけてある。フレンチでありながら和の食材を取り入れていくのは「レフェルヴェソンス」の特徴的なスタイルである。
ハマグリのクラムチャウダーには、ふわふわでいてもっちりとした食感のパン・ド・ミを添える。
「あえてトーストせずに提供します。カリカリとしたテクスチャーや香ばしさではなく、卵やバターを使わないパンの国産小麦ならではの風味や甘さを味わっていただきたいんです」。
ホロホロ鳥のアップルパイは、「レフェルヴェソンス」の定番であるひと口パイを倍のサイズにしたもの。レストランで食べたことのある人ほど、その大きさが愉快に感じられるかもしれない。しっとりと火入れしたホロホロ鳥、モッツァレラチーズ、根セロリのピューレ。パイの表面はゆずの香りが漂い、思わず笑いがこみあげてしまうほど絶妙なコンビネーションだ。
両店のエッセンスが融合したこの祭だけのセットを、ぜひ味わいたい。
文:沼由美子 写真:牧田健太郎