
新鮮なたけのこが手に入ると和食になりがちですが、油で炒めて甘辛の味つけにすると日本酒以外のお酒にも合うあてになります。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、甘辛味のたけのこの一品のつくり方とそのコツを教えていただきました。
京都でたけのこ料理というと、おだしで炊いたり、木の芽味噌で和えたり、醤油だれで焼いたり。でも、ご家庭でしたら、甘辛の味もいいと思うんです。
このたけのこ炒めは、“シウマイ”で有名なお弁当の定番おかずのアレンジ。甘めの味つけを大人も子供も好きな中華風に仕上げた、どこか懐かしい味わいの一品です。ご飯が進むおかずですが、お酒のつまみにもなると思い、オマージュしてつくってみました。
ポイントは先にたけのこに甘味をきかせること。たけのこに米油と砂糖をからめながら炒めると、油で砂糖がなじみ、たけのこの中まで甘味がしっかりと入ります。これに醤油を加えて煮詰めるだけで十分美味しくなるのですが、仕上げに木の芽を合わせると香りが立って、春らしい一品になります。
お酒は、絶対に紹興酒ですね。お弁当では思いつかない組み合わせですが、単品ですと甘じょっぱい味つけに紹興酒のまったりとした甘味がマッチします。
ゆでたけのこを使っていますが、水煮のたけのこでつくっても美味しいですよ。
たけのこ | 200g(ゆでたもの ※) |
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米油 | 大さじ1 |
砂糖 | 大さじ1 |
濃口醤油 | 大さじ1 |
木の芽 | 適量(1~2g) |
※水煮でもOK。
たけのこは1.5cm角に切る(水煮の場合は、さっと洗って水気をきるとよい)。木の芽は包丁で粗く刻む。
フライパンに①のたけのこを入れ、米油と砂糖を加えて中火にかけ、ヘラで混ぜながら炒める。全体になじんでしっとりするまで2~3分炒めたら、醤油を加える。汁気がほぼなくなるまで2~3分煮詰めて火を止める。
①の木の芽を全体にまぶす。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ