旅する食卓~EU食材と日本各地の食材の“パーフェクトマッチ”料理
湯葉と豆腐のクリームをまとった、ヘルシーな全粒粉スパゲッティとチョコレートのくず餅

湯葉と豆腐のクリームをまとった、ヘルシーな全粒粉スパゲッティとチョコレートのくず餅

クリスマスや忘年会など、人が集まる機会が増える年末年始。今回はおもてなしに向く3品をご紹介。和風仕立ての全粒粉スパゲッティ、雑穀パンを使った前菜、チョコレートと抹茶のデザートなどサプライズ感たっぷりのご馳走は、誰にでも喜ばれそうだ。EU×和食のおいしさを見事に融合させた“パーフェクトマッチ”を、ぜひお試しください。
\1月22日(水)19時からインスタライブ配信!視聴者限定プレゼントも!/

高品質で種類豊富なEU食材

EU食材

ふだん私たちがEU食材に触れるのは、どんなときだろうか。たとえばレストランでとびきりおいしい肉料理やパスタ、ワインを堪能したとき。また、パティスリーのショーケースに並ぶ美しいスイーツやチョコレートを口にしたとき。ヨーロッパの豊かな食文化とともに、その質の高さに一瞬で魅了されてしまう。

「ちょっと贅沢をしたいときに味わうもの」と思われがちなEU食材だが、今や私たちの生活に欠かせないものになっている。オリーブオイル、チーズ、シャルキュトリー、スパイス、製菓材料などバリエーションは幅広く、スーパーやデパ地下で気軽に購入できるのも嬉しい。とりわけ日本で手に入るものは、世界で最も厳しいといわれる生産基準をクリアしたものばかり。自然環境や動物福祉に配慮した飼育方法、殺虫剤、抗生物質、その他の化学的方法の使用にも規制があり、安全性と持続可能性を重視した生産者の真摯な取り組みが、質の高さにつながっている。

藤井恵さん

「これまでEU食材といえば、おもてなしや特別な日のために使うイメージでしたが、身近な和食材と相性が良いことに驚きました」と、料理研究家の藤井恵さん。

“家庭料理の名手”として知られる藤井さんは、豆腐や湯葉、長芋、ごま、白味噌などあえて淡く繊細な和食材を組み合わせる挑戦的な試みをしてくれた。

「EU食材はしっかりとした味の主張がありますが、決して尖っているわけではなく、どこか大らかで自然な味わいが魅力ですね。和食材だけであっさりとした料理を作りたいとき、仕上がりがぼやけてしまいがちですが、EUの食材や調味料を組み合わせると味がグッと立ち上がります。バランスを崩さずにお互いの良さを生かす、懐の深さにも感服しました」(藤井さん)

どの料理もシンプルで簡単。なのに、さりげない複雑味と味わい深さがある。「新鮮な発見がたくさんあって楽しい。私自身、EU食材をもっと早くから使っていればよかった」と、藤井さんも絶賛。EU×和食のコラボレシピには、ふだんの食卓を輝かせる、とっておきのヒントが詰まっている。

今回使ったEU食材は……

ギリシャ産全粒粉スパゲッティ

ギリシャ産のデュアル小麦100%のスパゲッティ。小麦から表皮(ふすま)、胚芽を取り除かずにそのまま製粉した“全粒粉”を使い、小麦の栄養や食物繊維を丸ごと味わえるのも人気の理由。濃厚な煮込み系ソースから、あっさりしたオイル系のソースまでどんな味わいにも幅広く合い、ふすまと胚芽由来の力強く素朴な香りと食感が、鮮やかな存在感を放つ。

ルクセンブルク産冷凍パン

ヨーロッパ古来の製法でつくられた天然酵母パン。小麦粉、新鮮なバターや牛乳、卵、塩などの素材を厳選し、焼き上げた後に急速冷凍して美味しさを閉じ込めている。生地を天然酵母でじっくり発酵させることで、独特の酸味と複雑な風味が生まれ、もっちりとしたクラム(内側部分)と香ばしいクラスト(外皮)とのハーモニーが楽しい。

クロアチア産パンプキンシードオイル

クロアチア原産のゴリッツァ種かぼちゃの種からつくられたパンプキンシードオイル。濃い緑色でナッツのような深い香りと風味を持つ。ビタミンEや必須脂肪酸、抗酸化物質が豊富で、コールドプレス(低温圧搾)で抽出するため栄養素がそのまま生かされている。ドレッシングだけでなく和食の和え物や冷奴、アイスクリームにかけてもおいしい。

エストニア産オーガニックチョコレート

動物性素材を一切使わない、プラントベースのオーガニックチョコレート。原料のカカオは希少なクリオロ種で、カカオの栄養を壊さないように低温でローストし、石臼で粉砕する。すべて手作業でおこなわれ、包装パッケージも天然素材でつくられている。有機ベリーをブレンドしたチョコレートは、エストニア産の自生種のみを使うこだわりよう。

チェコ共和国の白ワイン

チェコ共和国は隣国ドイツやオーストリアと肩を並べる、最高級のリースリング生産地。なだらかな斜面に、のどかで美しいブドウ畑が広がっている。チェコのリースリングは花の蜜のような魅惑的な香りとしっかりとした酸、豊富なミネラルが調和し、和食とも相性がいい。ワイン初心者から愛好家まで、幅広く満足させる魅力を備えている。

湯葉と豆腐のクリーミーギリシャ産全粒粉スパゲッティとルクセンブルク産パンのゆず胡椒トーストのつくり方

湯葉と豆腐のクリーミーギリシャ産全粒粉スパゲッティとルクセンブルク産パンのゆず胡椒トースト

豆腐、湯葉、白味噌、練り胡麻を合わせた繊細な味わいの和風ソースと、素朴で力強い全粒粉スパゲッティ。一見、バランスをとるのが難しい両者を見事に融合させたのがパンプキンシードオイルだ。藤井さんが「ほんの一振りで和食材の旨みをグッと引き立てる力に衝撃を受けました」というほどの名脇役ぶりを発揮。白ワインが心地よく寄り添い、もてなしの一皿としても話題を呼びそうだ。パスタに合わせるトーストは、プチプチとした食感の雑穀入りのパンで、噛み締めるごとに麦本来の素朴な甘さと旨みが広がる。ゆず胡椒のピリッとした辛味との駆け引きも楽しく、ワインのおつまみに最適!

材料材料 (2人分)

ギリシャ産全粒粉スパゲッティ150g
絹ごし豆腐1/2丁(150g)
生湯葉100g(汲み上げ)
九条ねぎ50g(またはわけぎ)
昆布だし1/2カップ
適量
オリーブ油大さじ2
クロアチア産パンプキンシードオイル小さじ1
A
・ 白味噌大さじ2
・ 白練り胡麻小さじ2
★ ゆず胡椒トースト
・ ルクセンブルク産冷凍パン2個(カントリーロール)
・ B
 ├ ゆず胡椒小さじ1/3
 ├ マヨネーズ小さじ1
 └ クロアチア産パンプキンシードオイル小さじ2

1下準備

豆腐は1cmの角切り、生湯葉はミニフードプロセッサー、またはハンドブレンダーやすり鉢などでペースト状にする。九条ねぎは斜め薄切りにし、葉先の4分の1は水にさらす。

2スパゲッティをゆでる

鍋に1.5Lの湯を沸かし、塩小さじ2、スパゲッティを入れる。パッケージの表示時間よりも1分短めにゆでる。ざるに上げて水気をきる。

3ソースをつくる

フライパンにオリーブ油を入れて中火で熱し、①の九条ねぎの根元から4分の3量を炒める。しんなりしてきたら昆布だし、①の生湯葉、Aを混ぜ溶かす。豆腐を加えて、全体が少しとろりとするまで煮詰める

4仕上げる

②のスパゲッティを和え、塩で味をととのえる。器に盛り、水気をきった①の九条ねぎをのせてパンプキンシードオイルをふりかける。

5トーストに塗るペーストをつくる

ボウルにBの材料を入れて混ぜる。

6トーストする

パンを横半分にカットし、切り口に⑤をぬってトーストする。

エストニア産チョコレートのくず餅 抹茶パウダーがけのつくり方

エストニア産チョコレートのくず餅 抹茶パウダーがけ

ぷるんと優しい口当たりの後に、濃厚なカカオの風味が広がる。乳製品を使わないプラントベースのチョコレートは「カカオの香りが力強く、深みのある抹茶と調和します」と藤井さん。甘くほろ苦い、上質な大人のスイーツに仕上がった。

材料材料 (2人分/12cm×15cm×高さ3cmのバットを使用)

エストニア産オーガニックチョコレート40g
くず粉30g
砂糖30g
牛乳1カップ
1/4カップ
A
・ きな粉大さじ3
・ 抹茶パウダー大さじ1

1下準備

Aを合わせてふるっておく

2具材を混ぜる

鍋にくず粉、砂糖を入れ、水を少しずつ加えながら、ゴムべらで粉玉がなくなるまですり混ぜる。牛乳を加え混ぜる。

3生地をつくる

チョコレートを包丁で細かく刻み、②に加える。中火にかけ、ゴムべらで絶えず混ぜながら熱する。チョコレートが完全に溶けてムラがなくなり、餅が鍋肌からはがれて粘りが出たら火を止める。

4型に流す

バットに①の半量を茶こしでふり入れる。③を熱いうちに流し入れ、ゴムべらで四隅の角まで広げて上面を平らにならす。①の残りを茶こしでまんべんなくふりかける。

5冷やし固める

粗熱がとれたら、冷蔵庫で30分ほど冷やして固める。食べやすい大きさにカットして器に盛る。

1月22日(水)19時〜インスタライブ開催!

1月22日(水)19時〜インスタライブを配信します。料理研究家・藤井恵さんに、本記事で紹介しているEU食材と日本各地の食材の“パーフェクトマッチ”料理3品のつくり方を教わります。
さらに、視聴者限定の豪華EU食材などが当たるプレゼントキャンペーンも開催予定!

インスタライブ中のクイズで、正解のコメントをライブ中に投稿した方の中から3名さまに、
・dancyuオリジナルトートバッグ
・EU食材(ギリシャ産パスタ、マルタ産塩、エストニア産チョコレート)
・EUオリジナルバンブーエコカトラリーセット
のセットをプレゼントいたします。

応募規約をご覧いただき、ご応募ください。

教える人

料理研究家 藤井恵(ふじい・めぐみ)

女子栄養大学栄養学部卒業。身近な食材と調味料を使った、作りやすく、わかりやすいレシピが大好評。日々のごはん、おつまみ、お菓子はもちろん、作り置きおかず、“体を整える”ことをテーマにしたレシピなど幅広く手掛ける。2女の母として15年以上、今もつくり続けているお弁当をインスタグラムで公開、多くのファンをつかんでいる。『からだ整えおにぎりとみそ汁』(主婦と生活社)、『選りすぐり道具とレシピ』(主婦の友社)、『THE 藤井定食』(ワン・パブリッシング)など著書多数。

認証マークについて

原産地呼称保護(PDO)および地理的表示保護(PGI)は、特定の地域で生産され、特定の伝統的な生産工程を経た製品の名称を保護するものです。ただし、この2つには違いがあり、主に原材料のどれだけがその地域で生産されているか、あるいは生産工程のどれだけが特定の地域で行われているかに関連しています。ヨーロッパの食品と飲料は、欧州大陸の文化的多様性と豊かな土地を反映しています。
3つ目の、EUオーガニック認証「グリーンリーフ」は、有機農産物に関するEUの厳格なガイドラインを遵守していると認められた製品に付けられます。各工程の95%以上がEU規制当局により「オーガニック」と認められた製品にのみ「グリーンリーフ」ラベルが表示されています。

原産地呼称保護(PDO)
原産地呼称保護(PDO):産地が明確に紐付けられ、生産、加工、調理のすべてが特定の地域内で行われている製品。
地理的表示保護(PGI)
地理的表示保護(PGI):生産、加工、調理の生産段階のうち、少なくとも1つが特定の地域内で行われている製品。
EUオーガニックロゴ
EUオーガニックロゴ:EU有機食品生産規則に従って生産された製品。

文:鈴木美和 撮影:蛭子真