シンプルだけど味わい深い、にんじんでつくるエキゾチックなあてです。にんじんそのものの味にクミンの香りをプラスすることで、洗練された美味しさに早変わりします。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
にんじんは年中手に入る野菜ですが、旬は冬と春なんです。
加熱が面倒と思われがちですが、電子レンジを使うと手早く火が通り、ゆでるよりも美味しくなります。1本を皮付きのまま切らずにラップでピシッと巻くのがポイントで、レンジにかけると蒸し焼きのようになります。
それを切って、フライパンでじっくり焼き、仕上げに塩をふれば完成です。煎って香りを引き出したクミンシードの芳香をまとわせるだけで十分美味しいんですが、サワークリームやバルサミコにからめていただくと、いろいろな味で楽しめます。
お酒は、クミンのエキゾチックな香り、サワークリームやバルサミコの濃厚な酸味と甘味に合う赤ワインを選びました。ブルゴーニュであれば至福ですね。
にんじん | 1本(150g) |
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クミンシード | 少々 |
オリーブオイル | 大さじ1/2 |
塩 | ひとつまみ |
サワークリーム | 約50g |
バルサミコ酢 | 少々 |
にんじんは皮付きのまま一本丸ごとラップで包み、耐熱皿にのせ、600wの電子レンジで竹串がスッと通るまで約3分間加熱する。
粗熱が取れたらラップを外し、1cm幅の輪切りにする。
フッ素樹脂加工のフライパンにクミンを入れて中火でさっと煎り、取り出す。
③のフライパンにオリーブオイルを入れ、②のにんじんを並べ入れて弱火にかける。時々上下を返しながらじっくりと5~6分間ほど焼き、塩をふる。
器に盛り、③のクミンをふる。サワークリームを添え、バルサミコ酢をかける。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ