大原千鶴さんの「今宵のあて」
旨味も香りも閉じ込める丸ごと揚げ「肉巻きマッシュルームカツ」

旨味も香りも閉じ込める丸ごと揚げ「肉巻きマッシュルームカツ」

秋の味覚の代表格といえば、きのこ。マッシュルームは独特の香りや歯ざわりを楽しめ、加熱すると旨味が際立ちます。今回はマッシュルームを丸ごと揚げるカツをご紹介します。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

肉汁を吸った濃厚なきのこには、土のようなアロマを感じる赤ワインを

マッシュルームはコロンとした形が愛らしく、くせのないきのこです。新鮮なものはスライスして生で食べられますが、油と相性がよく、フライにするととても美味しいんです。

マッシュルームは肉を巻いて、衣にくぐらせ、パン粉をまぶして揚げています。衣に包まれて蒸されたような状態になるので、香りが閉じ込められ、食感も残り、牛肉の旨味でさらに美味しくなります。
今回はホワイトマッシュルームですが、ブラウンマッシュルームでつくっても構いません。

ポイントは実山椒を一緒に包んでいること。粒のまま使っているので食べた時にプチッととあたり、爽やかなアクセントになります。あとはお好みでゆずを搾ってください。ゆずがなければ、ほかの柑橘でもOK。熱いのでやけどしないように気をつけて召し上がってくださいね。

お酒は赤ワインで。きのこの旨味に寄り添う、深みのあるブルゴーニュを選びました。

肉巻きマッシュルームカツのつくり方

材料材料 (2人分)

ホワイトマッシュルーム6個(約100g)
牛肉約100g(こま切れ)
少々
実山椒適量(水煮)
★ 衣
・ 小麦粉大さじ2
・ 水大さじ2
パン粉適量(細目)
米油適量
ゆず適量

1肉を巻く

まな板に牛肉を並べ、塩をふって実山椒を上にちらし、マッシュルームをのせて巻きつける。

肉を巻く
肉を巻く
肉を巻く

2衣をつける

ボウルに衣の材料を入れてよく混ぜ、①をくぐらせ、パン粉をまぶす。

3揚げる

揚げ鍋に米油を入れて中火にかけ、170℃に温める。②を入れて揚げる。表面が固まってきたら、箸で転がしながら4~5分間ほど揚げ、油をきる。

4仕上げる

半分に切って器に盛り、カットしたゆずを添える。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。