ミルキーなモッツァレラと、コクと鋭さのあるブルーチーズのダブル使いが決め手!合わせるだけで、絶品のオードブルが完成です。「飲み友」の料理研究家、上田淳子さんとしらいのりこさんに秋の晩酌がテーマの自慢のつまみを披露し合ってもらいました。
淳子 秋はお酒飲みにとって「本番」の季節よね。夏の暑さが去って、こっくりしたワインが無性に飲みたくなるの。
のりこ わが家では「かんまかせ」という便利な酒燗器を使って年中お燗酒を飲むんですけど、秋はさらに出番が増えそうです。ところで、淳子さんが手にしているワインは何ですか。
淳子 ドイツのリースリング。私がワインのおいしさに初めて触れたのが、神戸のレストランでいただいたリースリングでね。今回のおつまみのお題に「秋の曲で妄想つまみ」っていうのがあったでしょ?大学生の頃に聴いていたオフコースの歌がすぐに浮かんで、神戸のレストランのことを思い出したのよ。
のりこ エピソードがすてき。青春ですね!私はなかなか曲が見つからなくて苦労しました。夫のジュンイチも私もオザケンのファンだったので、悩んだ末「いちょう並木のセレナーデ」に。おつまみにはぎんなんを使いました(笑)。
淳子 ぎんなんと砂肝という歯ごたえの違う食材の取り合わせが新鮮でおいしかった!新ぎんなんがおいしくて、つい食べすぎて鼻血が出そう(笑)。
のりこ 鼻血には気をつけないと(笑)。アース・ウィンド&ファイヤーの「セプテンバー」もノリがよくて好きですけど、あの歌、実は12月の曲なんですよね。
淳子 え~、そうなの?知らなかった!
のりこ それにしても今日はいい天気。淳子さんちの屋上飲み、サイコーです。
淳子 秋風が気持ちよくて、お酒が進んじゃうよね。
のりこ 淳子さんは屋外でお酒を飲むこと、ありますか。
淳子 しょっちゅう飲んでます(笑)。屋上では夫と二人で、ちょっとお庭の広い友人宅では七輪を用意して炭をおこして、きのこや肉を焼いて。火が落ち着いたら、今度はさんまを焼いて、ひたすらお酒を飲む!
のりこ 本格的ですね!私はジュンイチと近所の公園に出かけて燗酒ピクニックします。お湯とビーカーと日本酒があればできるので、簡単ですよ。最近デッキチェアも購入したので、ビール片手にチェアリングすることも。
淳子 いいなあ、楽しそうね。公園といえば、季節は違うけど、お花見。以前住んでいた家の近くの公園で、30人くらいの大がかりな宴会を毎年のようにやっていたの。コロッケ50個揚げて、大鍋におでんを仕込んで、焼き鳥も山ほど買ってきて。茶道の心得がある男子が手づくりの桜餅を持ってきて、野点(のだて)をしてくれて。見物客にジロジロ見られながら、大いに盛り上がってました!
のりこ そ、それはスゴイ(笑)。その現場、誰でも凝視しちゃいますよ。
淳子 冬はスキー場でチーズフォンデュしたことも。積もった雪にワインをざくっと刺して冷やして。あのときも、周りのスキー客にジロジロ見られてた。
のりこ 淳子さんの外飲みにかけるパワー、素晴らしいです(笑)。
淳子 私はのりこさんとジュンイチさんと一緒に、燗酒ピクニックしたいなあ。
のりこ おつまみには手巻き寿司がいいですよ。海老天や牛しぐれ煮、生ハム、卵焼き、チーズなど、具はすべて加熱されたものを用意して、海苔と酢飯は分けて持っていくんです。長時間だらだら飲めますよ(笑)。
淳子 私も何かつくって持っていくわ!
のりこ 今日の「さんまのコンフィ」がおいしかったので、箱ワインと一緒にお願いします!
淳子 了解!で、いつにする?
モッツァレラチーズ | 1/2個 |
---|---|
ブルーチーズ | 30~40g |
いちじく | 2~3個 |
生ハム | 3枚 |
くるみ | 2片 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
塩 | 少々(粒タイプ) |
粗挽き黒胡椒 | 少々 |
モッツァレラは水気を拭き、小さめの一口大にちぎる。ブルーチーズは小さめに割る。いちじくは皮付きのまま食べやすく切る。くるみは粗く刻む。
皿に①と生ハムを盛り、全体にオリーブオイルをかけ、塩、胡椒をふる。
スイスのホテルやフランスのレストランなどで修業した経験を持ち、ワインにも精通。自宅のバックヤードには秘蔵酒がごっそり隠れている。『フランス仕込みのシャルキュトリー』(河出書房新社)などワイン党の心をくすぐる著書多数。
調理担当のしらいのりこと企画・酒担当のシライジュンイチ夫婦による、炊飯系フードユニット。ご飯も日本酒も米が原料。どちらも等しく愛している。近著に『ごきげんな晩酌 家飲みが楽しくなる日本酒のおつまみ65』(山と渓谷社)。
この記事は四季dancyu 2023 秋に掲載したものです。
文:佐々木香織 写真:伊藤徹也