まだまだ暑さが続きますが、今回は食べこたえもあって、秋を感じる一品をご紹介します。この季節に手に入りやすい秋鮭を揚げて、タルタルソースをかけた南蛮です。手順が面倒と思われがちですが、油少なめでソースも簡単。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
秋と言えば秋鮭ですね。鮭はいろいろな種類がありますが、秋鮭は日本で最も流通している天然の鮭のことで、お腹に卵を抱えて川に戻ってくるので、栄養が卵に取られ、そのぶん身があっさりしています。
皮に臭みがあるので取り除き、切り身にしたものを炭酸水を使った衣でカリッと揚げます。薄衣にするとベタッとならず、油も少量。衣は、薄力粉だとサクッと揚がり、米粉を混ぜるとさらにカリカリな衣になります。
つくるのが面倒、と思われがちなタルタルソースは、ゆで卵を目玉焼きにして克服します。時短で手間いらずで、私はもっぱらこの方法です。具材はピクルスが定番ですが、意外とあっさりとして美味しいのがしば漬け。こちらもお薦めです。
甘酢をかけても、ふんわりサクサクの衣。温かいうちにどうぞ召し上がってください。
そして、お酒はこの甘酢にぴったり合う「シードル」にしました。爽やかな甘味が、甘酸っぱい衣とマッチします。
鮭 | 2切れ(180g)(切り身) |
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塩 | 小さじ1/4 |
万願寺唐辛子 | 1本(30g) |
米油 | 大さじ2~3 |
★ 衣 | |
・ 炭酸水 | 大さじ2 |
・ 小麦粉 | 大さじ2 |
★ タルタルソース | |
・ 卵 | 1個 |
・ 玉ねぎ | 15g(みじん切り) |
・ ピクルス | 15g(みじん切り) |
・ マヨネーズ | 50g |
A | (合わせておく) |
・ 米酢 | 小さじ1 |
・ 砂糖 | 小さじ1/2 |
鮭の全体に塩をふって冷蔵庫で10分間ほど置き、出てきた水気を拭く。小骨を抜いて皮を外し、一口大に切る。揚げ焼きにする直前に、さっくりと溶いた衣にくぐらせる。
万願寺唐辛子は縦半分に切って種とヘタを外し、大きめの乱切りにする。
フッ素樹脂加工のフライパンに卵を割り入れ、水50mlを加えて蓋をし、弱火で黄身がしっかり固まるまで約3分間焼いたら、キッチンペーパーの上に取り出して水気を軽くきる。まな板に移し、包丁で粗く刻み、卵以外の材料とともにボウルに入れてよく混ぜる。
③のフライパンをさっと拭いてきれいにし、米油を入れて中火にかけ、①の鮭を並べ入れる。表面が固まってきたら箸で上下を返し、②の万願寺唐辛子も空いているところに入れる。カリッと揚げ焼きにして鮭に火が通ったら、油をきる。
器に盛り、鮭にAを回しかけ、③のタルタルソースをたっぷり添える。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ