あっさりとしたものについつい走りがちなこの季節。食べたいけれど、つくるのが面倒で敬遠されがちなのが揚げ物です。簡単にできるならと、教えていただいたのが紅生姜をアクセントにした夏にぴったりの豚天。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
暑い季節は、火を使って調理するのは面倒で、特に揚げ物はそうですね。
でも、この豚天はわざわざ衣をつくらなくてよく、油は少量ですみます。生姜を豚こま切れ肉で巻いて粉をはたくだけ。薄衣なので罪のない揚げ物です。
ポイントはお箸を使わずに、豚肉を手でぎゅっと握ること。あえてきれいにまとめないほうが、美味しそうです。食べるとところどころに紅生姜があって、豚肉をさっぱりいただけます。
紅生姜はジャンクなイメージですが、独特の塩気と香りがあるので、料理のいいアクセントになります。私は一年中よく使うので、毎年、新生姜の季節に漬けています。市販のものでしたら、田舎風のしそを一緒に漬け込んだ、香りのあるものがお薦めです。
お酒は、どぶろくです。トロッとした口当たりが天ぷらに合い、お米のほのかな甘味や香りが、さっぱりとした生姜と豚肉の旨味を引き立ててくれます。
豚こま切れ肉 | 150g |
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塩 | ひとつまみ |
粗挽き黒胡椒 | 少々 |
紅生姜 | 15g(粗みじん) |
片栗粉 | 大さじ1/2 |
米油 | 適量 |
しし唐 | 4本 |
豚肉は大きければ3~4等分に切る。しし唐はヘタを外し、竹串で数カ所刺して、穴を開けておく。
ボウルに①の豚肉を入れ、塩と粗挽き黒胡椒を全体にまぶし、紅生姜と片栗粉を加えて混ぜる。
揚げ鍋に米油を入れて中火にかけ、170℃に熱する。②を手でぎゅっと握って丸めながら入れて揚げる。表面が固まってきたら、しし唐も入れ、箸で転がしながら3~4分間揚げて、油をきる。しし唐は揚がったら途中で引き上げ、塩少々(分量外)をふる。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ