大原千鶴さんの「今宵のあて」
梅しそで味わう、夏向きの揚げ物「アジの梅しそ春巻き」

梅しそで味わう、夏向きの揚げ物「アジの梅しそ春巻き」

お酒を飲むと必ず欲しくなる揚げ物ですが、ちょっと面倒な上に、夏は暑くてハードルが上がります。でも、この春巻きはぜひつくってもらいたい一品。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

梅の酸味が、ソーヴィニヨンブランと好相性

私は大の梅好きで、梅干しは年中欠かせません。調味料として使うことも多く、その場合は梅干しでもいいですが、今回のように練り梅でつくるとより簡単。練り梅は、これだけで味が完成するので、常備しておくと何かと便利です。

魚は時間が経つと臭みが出ますから、アジは塩をして水分を出し、拭き取って生臭みを取るようにします。皮を剥ぐときは、腹の部分の身が剥がれやすいので手で押さえながらゆっくりと剥ぎます。こうするとゼイゴまで取れるんです。

春巻きは優秀な料理ですよね。具を巻いて包むことで旨味を閉じ込め、揚げるだけで食べごたえのあるいいあてになります。梅しそ春巻きはいろいろな組み合わせができ、サワラや鯛、鶏のささみなどでやっても美味しいです。

お酒は、和食や揚げ物にぴったりで、梅の酸味にもよく合うソーヴィニヨン。繊細な味わいの日本ウイスキーのハイボールもお薦めです。

アジの梅しそ春巻きのつくり方

材料材料 (2人分)

アジ1/2~1尾(正味120g)(刺身用・3枚におろしたもの)
小さじ1/4
★ 水溶き小麦粉(合わせておく)
・ 小麦粉小さじ1/2
・ 水小さじ1
春巻きの皮4枚
青じそ2~4枚
練り梅少々
米油適量

1アジに塩をふる

アジの全体に塩をふって冷蔵庫で10分間ほど置き、出てきた水気を拭く。

2アジの下準備

小骨があれば抜いて、頭のほうから皮を取る。1cm幅に切る。

鯵の下準備

3青じそを切る

青じそは大きければ半分に切る。

4春巻きの皮で巻く

春巻きの皮を、角部分を手前にしてまな板の上に置き、③の青じそ、②のアジ(約30g)、練り梅を順にのせる。手前の角を折りたたんでひと巻きし、左右の両角を折りたたみ巻く。巻き終わりに水溶き小麦粉をつけてとめる。残り3枚も同様に巻く。

春巻きの皮で巻く

5春巻きを揚げる

揚げ鍋に米油を入れて中火にかけ、170℃に熱する。④の春巻きを入れ、ときどき箸で転がして2~3分間ほど揚げ、油をきる。食べやすく切って器に盛る。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。