マヨネーズにスモークパプリカを混ぜるだけで、コク、キレ、旨味がふくらみ、後味も軽快なおつまみに仕上がります。つまみの名手である「ロックフィッシュ」の店主、間口一就さんに手軽にできるマヨネーズつまみを教わりました。
マヨネーズは、おいしい。ゆえにマヨネーズを使ったつまみは、旨くて当たり前。なのに銀座のバー「ロックフィッシュ」の店主・間口一就さんがつくってくれた10品には思わず、あっ!えっ?お〜!!と感動連発。予想を遥かに超える、愉快な美味揃いである。
「マヨネーズは単独でも成立する完成した味ですが、実は多様な食材をまとめるつなぎ役としても、万能選手なんです」
実際、「お漬物マヨネーズカナッペ」をはじめ、つまむたびに“一体感”という言葉が心に浮かんだほど、食材が美しい輪を描いて手を取り合っていた。「おきつねチーズ」のアンチョビ、「豆腐ようマヨポテトサラダ」の豆腐よう、「サーディンマヨサンド」のみょうがといった個性的な面々も自我が薄められ、チームプレイに徹しているのが面白い。
これは卵、酢、油、塩分というマヨネーズの材料がそれぞれに隠しもつ働きを、間口さんが効果的に利用しているから。塩気にまるみを与えたり、うま味の引き立て役になったり、あと味を軽快にしたりと、マヨネーズは実に健気である。味にふくらみが出る分、ビール、ハイボール、日本酒、ワインなど、幅広い酒をさりげなく受けとめるのもうれしい。
今回の料理、材料はスーパーやコンビニエンスストアで気軽に買えるものばかり。調理は切って並べるだけ、混ぜるだけ、がほとんど。鍋やコンロは使わず、加熱する場合はオーブントースターにおまかせ。「酒盗ツナ缶マヨネーズ」や「カニ缶マヨネーズ」のように、皿に盛りつけるだけという品もあり(でも口の中でおいしい物語が完成する)、酔っ払ったご機嫌モードでのチャレンジでも失敗はない。
また、マヨネーズとスモークパプリカ、みょうが、味噌の組み合わせは、今回のレシピ以外にも広く対応してくれる調味料になる。パターンを覚えておけば、マヨ的つまみワールドは無限大に広がるはずだ。基本的には、レモンほか酸味の強いものを避ければOK!マヨネーズのメーカーは問わないが、種類によって酸味の度合いが異なる。間口さん曰く、この酸味が料理の軸になるそうなので、自分好みのメーカーを追求してみるのもいいだろう。
最後に、間口さんからの甘いメッセージも、皆さまにお届けしたい。「レシピ、もうひとつ!バニラ系のアイスクリームに、マヨネーズを足してみて〜♡」これがなんと、スキップしたくなるほど軽やかな美味アップの結果に。デザートまで完璧とは、素晴らしきかな、マヨライフ。
ゆで卵がこれだけでご馳走になる上、揚げ物を欲する食欲増進の働きも。スモークパプリカは香辛料の棚で入手可。
ゆで卵 | 2個 |
---|---|
マヨネーズ | 20g |
スモークパプリカ | 小さじ1/2 |
ゆで卵を縦半分に切って皿に並べる。
マヨネーズとスモークパプリカを混ぜ合わせ、卵の上にのせる。
独創的なおつまみ名人。レシピ本も多数。炒め物にマヨネーズを使うなど、学生時代から多彩にマヨ活。
文:山内史子 写真:牧田健太郎