尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
飲みきれない"日本酒"で、山椒が香る"浅漬け"を!

飲みきれない"日本酒"で、山椒が香る"浅漬け"を!

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、飲みきれずに残った“日本酒”。本来の酒の味わいをいかして、浅漬けを漬けてみませんか?

開栓した“日本酒”は早めに飲みきりたい!

日本酒好きのみなさん!飲みきれない日本酒、余らせていませんか?ついたくさん買ってしまったり、誰かにもらったり。開栓したものは早めに飲まないと味も変わってしまうので、プレッシャーになることも。実は、尾身さんも……!

「そうなんですよね。我が家は夫婦で飲むんですが、どうしても追いつかなくて残ってしまうことがあって。でも、いいお酒って味がきれいすぎて、料理に使ってもあまりおいしくならないんですよ。たとえば“あさりの酒蒸し”に大吟醸なんて、もったいない!火を通すなら、パンチのきいた安いお酒のほうがいいんです」

尾身さん
尾身さんも日本酒が大好き。「定番の肴はお刺身です!」

なるほど!確かに、米を磨きすぎていないほうが、酒ならではの複雑な旨味が出るのかもしれない。じゃあ、ちょっといい日本酒が残っているときはどうすれば?

「せっかくのお酒の個性をいかして、火を通さずに使うレシピがおすすめです。今回は、つまみにもなる“浅漬け”をつくってみましょう!」

酒の味わいをいかして野菜を“浅漬け”に

漬け込む野菜は、定番のきゅうりとかぶだが、切り方をひと工夫することで、グッと特別感が出る。きゅうりは食感をよくするため、そして味をなじみやすくするため、蛇腹切りに。かぶは彩りよく、根元の葉を少し残してくし形切りに。漬け汁は日本酒に調味料を加えるだけとシンプルだが、実山椒の塩漬けも一緒に漬け込むことで、酒の持つ風味がいきる。

味わってみると、きゅうりはシャクッと歯切れよく、かぶはコリッと歯ごたえが心地いい。さらに、日本酒のコクのある旨味がしっかりしみていて、山椒の風味がなんとも爽やか!麴漬けにも近い味わいだが、すっきりとしたキレがあって上品だ。

「日本酒を飲むように味わえる浅漬けです。漬け汁に酒を加える場合、アルコール分を煮切ることもありますが、いい日本酒を使うなら火を入れないほうが絶対においしいですよ。今回はきゅうりとかぶを漬けましたが、好みの野菜に置き換えてアレンジしてみて!」

野菜のおいしさも感じられるこの浅漬け。つい箸が進んでしまうが、うっかり運転する前に食べないように、ご注意を!

“日本酒で浅漬け”のつくり方

浅漬け

材料材料 (つくりやすい分量)

きゅうり1本(100g)
かぶ2個(150g)
実山椒の塩漬け小さじ1(包丁の背でつぶす)
小さじ1/2
★ 漬け汁
・ 残った日本酒150ml
・ 砂糖大さじ4と1/2
・ 塩小さじ1と1/2

1きゅうりを蛇腹切りにする

きゅうりを挟むように割り箸を置く。包丁が割り箸に当たるまで、1mm幅に切り込みを入れる。裏返して、今度は反対側の面に、斜め1mm幅に切り込みを入れる。両端を切り落とし、3cm幅に切る。

きゅうりを蛇腹切りにする
きゅうりを蛇腹切りにする
きゅうりを蛇腹切りにする

2かぶをくし形切りにする

かぶは葉の根元を少しだけ残し、皮つきのまま8等分のくし形切りにする。

かぶをくし形切りにする

3野菜を下漬けする

野菜に塩をふり、まんべんなくからめる。そのまま10分ほど置いて下漬けする。

野菜を下漬けする

4日本酒で漬ける

ポリ袋に漬け汁の材料を入れ、砂糖と塩が解けるまでよく混ぜ、実山椒の塩漬けを加える。そこに、下漬けした野菜を出てきた水分ごと加えて、汁を軽くもみこむ。袋の空気を抜いて口を結び、冷蔵庫に半日以上置けば食べごろになる。冷蔵で約2~3週間、保存可能。

日本酒で漬ける
日本酒で漬ける

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。