具材はねぎだけですが、じっくりと火を通すことで甘味が充分に引き出され、そのとろりとした食感も相まって、満足感の高い一皿になります。酒肴家として有名な料理研究家の稲垣知子さんに、日本酒と相性抜群なパスタレシピを教えてもらいました。
おいしさのコツは、ねぎをじっくりと蒸し焼きにして甘味を引き出すことと、ねぎの汁を余さず使うこと。ねぎ汁をとろりとさせたいので、オリーブオイルを加えたら、遠慮せず強めにガンガン混ぜ、乳化させるのがポイントだ。
ねぎやうどの優しい甘味に合わせるなら、お酒も突出した味や香りが少なく、バランスのよい優しい味わいのものを。どちらの日本酒も、ほどよく旨味はありつつ、後半ですっと水のように消えていく清らかさが気持ちよい。日本酒のなかに潜むほのかな苦味も、野菜の甘味と好相性だ。
スパゲッティーニ | 100g |
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白ねぎ | 2本(なるべく太いもの) |
オリーブオイル | 大さじ1 |
淡口醤油 | 小さじ1 |
塩 | 適量 |
黒胡椒 | 適量 |
ねぎは長めに切ってアルミホイルで包み、魚焼きグリル(またはトースター)で20分ほど蒸し焼きにする。途中、鍋に水2L、塩大さじ1と1/2を入れて沸かし、スパゲッティーニを表示時間より1分短くゆでる。
ねぎが十分にやわらかくなり、切り口からとろりとした汁が出るまで焼けたら、いちばん外側の繊維のかたい1枚をむき、縦に半分に切り、長さ3cmに切ってボウルに入れる。このとき、ねぎの汁も捨てずにボウルに加える。
②にオリーブオイル、淡口醤油、黒胡椒を加え、フォークでしっかり混ぜて全体に白っぽくもったりした状態にする。
①のスパゲッティーニを湯をきらずに③に直接加えてよく混ぜる。味をみて足りないようならゆで汁を大さじ1~2加えて混ぜ、さらに味をみて足りなければ塩でととのえる。器に盛り、黒胡椒をふる。
和食からエスニックまで、ジャンルを超えて日本酒に合う酒肴を探求。「パスタで飲む」も、稲垣さんにとっては当たり前のこと。「料理を食べた後、お皿に残ったおいしいエキスに、ゆでたパスタをからめてさらに飲むことも(笑)。アクアパッツァは特におすすめです」
※この記事の内容はプレジデントムック技あり!dancyu「パスタ」に掲載したものです。
文:佐々木香織 写真:宮濱祐美子