お酒のあてに欠かせない豆腐。『豆腐百珍』で知られるように、豆腐料理のバリエーションは豊富で、とても奥深い。その中でも食べごたえがあって、酒肴としても満足のいく、自家製の焼き豆腐をご紹介します。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。
豆腐があれば呑めるのは私だけ?(笑)いえいえ、お酒呑みはみなさんそうですよね。
以前、江戸時代の料理本『豆腐百珍』に出合い、自分なりの新・豆腐百選の本をつくったことがあるのですが、今も私の豆腐料理は進化し続けています。
木綿や絹ごしに並んで、焼き豆腐という豆腐がありますが、これは自家製の焼き豆腐です。市販のものは表面をガスバーナーで炙って焼き色をつけていますが、また水に戻しているので香ばしさがないんです。でも、豆腐をそのままグリルで焼くと買ったものとは別物!格段に美味しくなります。香ばしくて、旨味があり、水きりせずに焼いているので中はトロトロ。癖になる美味しさです。
これにねぎと塩辛をのせるだけで完成です。トッピングが塩辛ですから、お酒はやはり日本酒!豆腐を崩しながら、塩辛の塩味をからめながら、好みの味加減でお酒をちびり。たまりません〜。
塩辛がなければ、豆腐に塩をふって焼き、塩焼き豆腐にしても。こちらもお薦めです。
絹ごし豆腐 | 1/2丁(150g) |
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白ねぎ | 10~20g |
いかの塩辛 | 適量 |
白ねぎは小口切りにし、水でさっと洗って水気をぎゅっと絞っておく。
豆腐は半分に切り、塩少々(分量外)をふって、グリルで5分ほどこんがりと焼き色がつくまで焼く。
豆腐を器に盛り、塩辛と①のねぎをのせる。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ