料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回も前回に引き続き、冷蔵庫に残っている“漬け物”を“フードロサない”食べ方をお伝えします!
前回に続き、冷蔵庫に残っている“漬け物”を食べきる方法を聞いたところ、尾身さんがこんな思い出話も教えてくれた。
「昔は冬になると毎年、母が白菜を漬けていたんです。といっても、ちょっと漬けるんじゃなくて、まるで漬物屋みたいだったの。まず、大量の白菜を半分に切って、
料理上手だったという、尾身さんのお母様。漬け物を豚肉と一緒に炒めたおかずが、食卓に並ぶこともあったそうだ。「漬け物を炒めたり、煮込んだりする調理法は、中国のほうが発達していますよね。漬け物の発酵の旨味は、火を通すことでより深い味になるんですよ」。
そこで今回は、残った漬け物を炒めて煮込む、中華風の絶品おかずを教わることに!
尾身さんが冷蔵庫から選んだのは“野沢菜漬け”。株ごと漬け込んであるので、1パックに入っている量も多く、たっぷり残りがちな漬け物のひとつだ。これをざくざくきざんで豚バラ肉と一緒に炒めて、中華風の“春雨煮”にするというわけだ。
おいしくつくるポイントは、野沢菜漬けと豚肉を炒めたら、そこに水と調味料を加えてしっかり煮込むこと。「水分を加えて煮ることで、漬け物の発酵の旨味をしっかりスープに煮出すんです。そのスープを春雨が吸い込んで、おいしい春雨煮ができあがりますよ」と、尾身さんのアドバイス。
いざ、できあがりを味わってみると、まさに野沢菜漬けあってこその旨さ!漬け物と豚肉の旨味を吸った春雨がおいしすぎて、ツルツルと飲むように食べてしまう。野沢菜のシャキシャキ食感とのコントラストもよく、白いご飯も進む味。「高菜漬けや白菜漬けでつくってもおいしいですよ」とのこと。一度食べれば、わざわざ漬け物を買ってつくりたくなる味だ。ぜひお試しあれ!
野沢菜漬け | 120g |
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春雨 | 50g(乾燥。熱湯に10分浸して戻してからざく切り) |
豚バラ薄切り肉 | 80g(1.5cm幅に切る) |
赤唐辛子の輪切り | 1本分(乾燥) |
胡麻油 | 大さじ1 |
A | |
・ 水 | 100ml |
・ 酒 | 大さじ2 |
・ 醤油 | 小さじ1~2 |
野沢菜漬けは1cm長さの小口切りにする。
フライパンに胡麻油をひいて中火にかけ、豚肉、赤唐辛子を入れて炒める。肉の色が変わったら、野沢菜を加えてさらに炒める。
全体に油がまわったら戻した春雨を加えて、さらにAを加えて炒める。汁気がなくなったら完成。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:伊藤菜々子