料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案。今回は、クリスマスにちなんで“ローストチキン”のアフターレシピ。簡単なローストチキンの焼き方も教わります!
クリスマスのご馳走といえば“ローストチキン”。こんがり焼けた丸鶏を豪快に切り分けるのは、テンションが上がる。ところが、食べきれずにちょっとだけ残ってしまうのもまた、ローストチキンの宿命なのである。でも、今年は心配ご無用!
さっそく、おいしく食べきるワザを聞いてみたところ、「“ロサない”方法を紹介する前に、せっかくなのでローストチキンも焼いてみませんか?ハードルが高そうに見えるかもしれませんが、意外と簡単なので!」と、尾身さん。
「調理師専門学校に通っていた二十歳くらいのときに、初めて焼いて感動したんです。こんがり焼けているのに、お肉はしっとりジューシー!ぜひこのおいしさを味わって」
さっそくつくり方を教えてもらうと、確かに複雑な手順はいっさいなし。「本来はお行儀よく、脚はタコ糸で結ぶのですが、家で焼く場合は省いてOK!その方が重ならないので火が通りやすく、皮もパリっとよく焼けますよ」と尾身さん。ただし、手羽先だけは正しくたたんで焼くようにしたい。
というわけで、今回は特別編。まずは尾身さん流のローストチキンのレシピをお届けしよう!
丸鶏 | 1羽(1.8kg) |
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ローズマリー | 2、3枝 |
オリーブオイル | 大さじ2 |
★ 丸鶏の下味 | |
・ 塩 | 小さじ2 |
・ 黒胡椒 | 少々 |
・ おろしにんにく | 小さじ1 |
★ スタッフィング | (詰め物) |
・ バター | 15g |
・ 雑穀ご飯 | 100g(レトルト) |
・ にんにく | 1片(粗みじん切り) |
・ まいたけ | 100g(食べやすく裂く) |
・ しいたけ | 50g(6等分に切る) |
・ ミックスナッツ | 50g |
・ 塩 | 少々 |
・ 黒胡椒 | 少々 |
★ 香味野菜 | |
・ 玉ねぎ | 中1個(薄切り) |
・ にんじん | 1/3本(薄切り) |
・ にんにく | 2、3粒(薄切り) |
★ ソース | |
・ 白ワイン | 大さじ2 |
・ 水 | 100ml |
・ 醤油 | 小さじ2 |
・ 水溶き片栗粉 | 少々 |
丸鶏はキッチンペーパーで表面や内側の水気を拭き取る。表面に下味の塩、黒胡椒、おろしにんにくをまんべんなくすりこんで、1時間ほど室温に置く(ラップはかけない)。
フライパンにバターを入れて中火にかけ、溶けたらにんにくを炒める。香りが立ったらきのこ類を加えて炒め、しんなりしたら雑穀ご飯、ミックスナッツを加えて炒める。仕上げに塩、黒胡椒で味を調えて、バットに取り出して冷ましておく。
丸鶏にスタッフィング、ローズマリーを詰めて、爪楊枝で留める。手羽先をたたんで、背側に引っかける。
天板に香味野菜を敷き、丸鶏を胸側を上にしてのせ、オリーブオイルを塗る。120℃に予熱したオーブンに入れ、40分ほど焼く。さらに、220℃に温度を上げて、30分焼く。
焼き色がついたらオーブンから出し、天板の上にのせたまま30分ほどやすませる。
天板の香味野菜、鶏の肉汁を小鍋に移し、白ワインを加えて中火にかける。アルコール分がとんだら水、醤油を加えて、ゴムベラで野菜をつぶしながら軽く煮詰め、ザルで濾す。再び鍋に戻し、水溶き片栗粉で薄くとろみをつけたらソースの完成。ローストチキンに添える。
もちろん、残ったローストチキンも尾身さんは“ロサない”。骨にくっついて残ったお肉こそが旨味たっぷりのおいしい部分なので、しっかりこそげて食べつくしたい。そんなふうに細かくほぐしたチキンでつくるのが、“ローストチキンのサンドイッチ”。
「マヨネーズやマスタードで和えるだけなので、簡単でしょ。私はカリッとトーストした全粒粉入りの食パンで挟むのが好きなんですが、バゲットなど好みのパンに挟んで!」
香りのいいルッコラも一緒に挟んで味わえば、チキンのおいしさがますます引き立つ絶品サンドイッチに。ちなみに、ローストチキンの付け合わせにしたクレソンの残りを使ってもOK。これが翌日の朝ごはんに食べられるなら、起きるのが楽しみになりそうだ!
残ったローストチキンの骨についている肉をはずし、粗く裂いてボウルに入れる。
ローストチキンにマヨネーズ、粒マスタードを加えて和える。食パンを軽くトーストしてバターを塗り、ルッコラ、ローストチキンを挟む。
料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。
文:大沼聡子 撮影:伊藤菜々子