大原千鶴さんの「今宵のあて」
油で焼きつける、食感と香りが絶品の「セロリのチヂミ」

油で焼きつける、食感と香りが絶品の「セロリのチヂミ」

お酒のお供にも、小腹が空いたときの虫養いにもなるチヂミ。材料を揃えて、生地をつくってのプロセスはちょっと面倒そうですが、思いのほか簡単で、仕上がりは抜群。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

生地や油分をすっきりと断ち切る上海ハイボール

チヂミは、韓国の粉もので、意外と簡単につくれてヘルシー。何より野菜がたっぷり摂れるのが魅力です。にらやねぎ入りのチヂミが一般的ですが、今回使ったのはセロリ。セロリの茎はいろいろな料理に使いますが、使い道がなくて困るのが葉の部分。ご安心ください。このチヂミはすべてを使い、セロリ独特の香りと食感を味わいます。あるいは、葉だけでつくってもいいですよ。

生地は、小麦粉や水をよく混ぜ合わせてから、野菜のほかに豚肉と桜海老を加えています。これで旨味がぐんと増し、豚の脂で野菜に火が入るんです。途中で油を足し、生地を押しながら揚げ焼きのように焼くのがポイントです。これで生地がカリッと仕上がります。

もう一つのポイントが、できたチヂミを少し網に上げて蒸気をとばすこと。こうすると生地がベタッとならず、時間が経っても美味しいんです。冷めたチヂミは食べる前にもう一度、胡麻油を敷いたフライパンで焼いてください。カリッとして美味しさが蘇ります。

わが家ではつくって置いておくと、いつの間にかなくなっています(笑)。暑い夏はついついビールですが、上海ハイボールもとても合います。

セロリのチヂミのつくり方

材料材料 (小さめのもの10~12枚分 2~3人分)

セロリ1本(150g)
A
・ 小麦粉50g
・ 片栗粉30g
・ 水50ml
・ 卵1個
・ 薄口醤油大さじ1
B
・ 玉ねぎ1/4個(粗みじん)
・ 豚バラスライス3枚(細切り)
・ 桜海老大さじ1
★ たれ
・ 薄口醤油大さじ1/2
・ 米酢大さじ1/2
・ 粗挽き黒胡椒少々

1下準備

セロリの茎と葉を細かく切る。

2生地をつくる

ボウルにAを入れてスプーンでよく混ぜ、①のセロリ、Bを加えてざっくりと混ぜる。

生地をつくる
生地をつくる

3生地を焼く

フライパンに胡麻油大さじ1/2(材料外)を入れて中火にかけ、②を大きめのスプーンで落とし入れて広げ、小さなチヂミを5~6枚焼く。表面が乾いてきたら上下を返し、胡麻油小さじ1/2(材料外)を足し、ヘラで軽く押さえながら焼く。焼けたらいったん揚げバットの網などに移し、蒸気をとばす。残りも同じように焼く。

4たれをつくる

たれの材料を混ぜ合わせる。

5仕上げる

器に盛り、合わせておいたたれを添える。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。2023年4月より、オンライン料理レッスンもスタート。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。