ぎゅっと凝縮した野菜の旨味が後を引くおいしさ!仕上げにハーブをたっぷりのせて、トマトを崩してソース代わりにしながらいただく。ブンや春雨を一緒に盛っても美味。季節ごとの素材をシンプルに調理するのが得意で、料理をすることが大好きな料理研究家の遠藤千恵さんに、気負わずできるレシピを教えてもらいました。
どんなに料理が好きでも、毎日のこととなるとなかなか面倒。ときには、何をつくったらいいかわからない!と癇癪(かんしゃく)を起こしそうになることも。
だけどおいしいものが食べたい。外食続きは疲れちゃう。みんなは何をつくっているんだろう?と考えてみたら、料理上手な友人が食べさせてくれたあれやこれやを思い出します。
食べ慣れた自分の料理と違うから難しそうに思えたけど、つくり方を聞いてみたら、予想外に手軽だった。いくら料理上手でも、毎日忙しいなかで、大変な料理ばかりつくるわけはないのです。ちょっと新鮮で、つくりやすくって、料理したい欲がそそられる。そして、家族に食べさせたくなる。
今、知りたいのは、そんな日常の料理。誰かがつくり慣れた、手順にも材料にも無理のないレシピです。夏号で教えていただくのは、季節の手仕事を取り入れた料理が得意な、遠藤千恵さん。
梅干しや発酵の力、旬の野菜の力強さを利用した遠藤さんの料理は、手順も使う素材も調味料も少ないのに、食べると驚くほどの奥深い味わい。今日の夕飯から役に立つシンプルレシピをたっぷりとお届けします。
「手軽にできる料理を教えて!」と遠藤さんにお願いしたら、このサラダの提案が。ありそうでない、遠藤さんらしいレシピ。初夏の気分にぴったりの味わいで、おもてなしにもお薦めです。
トマト | 小4個分(横に3等分に切る) |
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ミニトマト | 8個分(半分に切る) |
じゃがいも | 小8個(皮付き) |
赤玉ねぎ | 1/4個分(横に薄切りにして水にさらす) |
押し麦 | 1/4カップ |
A | |
・ オリーブオイル | 大さじ3 |
・ 塩 | 小さじ1/2 |
・ にんにく | 1片分(みじん切り) |
タイム | 8~10本(飾り用に少しとっておく) |
ローズマリー | 2枝(飾り用に少しとっておく) |
松の実 | 1/4カップ |
塩 | 適量 |
黒胡椒 | 適量 |
B | |
・ オリーブオイル | 大さじ1 |
・ 白ワインビネガー | 大さじ1 |
ローリエ | 適宜 |
じゃがいもは、鍋に入れてかぶるくらいの水と塩小さじ1を加え、中火にかける。沸騰したら弱火にし、竹串がスッと通るまでゆで、ザルにあげる。
粗熱が取れたら手で半分に割ってボウルに入れ、Aを加えて混ぜる。耐熱皿に並べ、予熱なしのオーブンに入れて220℃で15分焼く。
鍋に400mlの湯を沸かし、塩ひとつまみと押し麦、あればローリエを加え、15分ゆでる。流水でぬめりを洗い流し、ザルにあげて水気をきる。
①に②と水気をきった玉ねぎを散らし、トマトとミニトマトを切り口を上にして並べる。塩小さじ1/2をふり、タイムとローズマリーと松の実を散らし、さらに7~8分焼く。
トマトが柔らかくなったらオーブンから出し、Bを回しかけ、胡椒をふる。飾り用のハーブを散らす。
「ties」主宰。マクロビオティックを学んだ後に、フレンチシェフのもとで基礎となる技法を学ぶ。各国を旅して多様な食文化に触れながら、現在は神奈川県の自然豊かな土地で親交の深い生産者と近隣の付き合いから手に入る野菜を中心に、昔ながらの手仕事を取り入れた料理をつくっている。情報はインスタグラム(@ties.chie)で発信。
※この記事の内容は、『四季dancyu 2022夏』に掲載したものです。
構成・文:藤井志織 撮影:宮濱祐美子