辻さん流、美味しいホワイトアスパラの食べ方のご紹介です。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。パリに住んで20年の辻さんによる、美味しさと思い出の詰まった“パリ・サラダ”のレシピです。
辻家(息子とぼくの成員二名でしたが、最近息子は自立、犬の三四郎と一人と一匹で辻家を構成中)では、ホワイトアスパラがマルシェに並び始めるこの季節、必ず週に一度か二度はホワイトアスパラがテーブルを彩ります。
通常はゆでて、オランデーズソースをかけ、ポーチドエッグをのせて食べるのですが、これがグリルもいけるのです。なんとなく、ホワイトアスパラって、ゆでて食べるものというイメージがありますよね。ビネグレットで食べるの、美味しいですものね。ところが焼いたら、サラダというよりもメインという感じになるのです。
ビストロなんかでたまに出てきますが、野菜なのに、主食になってしまう、今日はホワイトアスパラの珍しいグリル焼きをご紹介したいと思います。
おっと、その前に、ちょっとだけ脱線を。
このホワイトアスパラですが、ぼくはよく、リゾットの中に入れて食べるのです。これが、ここだけの話、一番美味しい食べ方なんですよ(でも、「パリ・サラダ」ですから、今日はグリルにしてみました)。
リゾットに入れると、こりこり、しこしことした食感がたまらないんです。魚屋で鯛を一尾買い、一人なので、食べきれず、半身のフィレを蒸して、このアスパラのリゾットの上にのせて食べたのですが、いやぁ、やばかったです。間違いなく、ホワイトアスパラがリゾットと鯛の味を引き立てているのがわかります。
見た目はあっさりなのですが、実はグリーンアスパラよりも風味が圧倒的に豊かです。お米や魚との相性がいいこともわかってきました。ゆでても美味しい、グリルも美味い、そして、リゾットの中に入れても、際立つこの存在感、白さん、お見事ですな。
季節のものを食べることの幸せったらありません。この季節になるとマルシェや八百屋に白い棒がずらっと並ぶので、もう、そわそわしてたまらないわけです。ということで、「パリ・サラダ」今回は渾身の力作、ホワイトアスパラのグリルサラダをご紹介したいと思います。
え?リゾットはどうするんだ!?
あはは。いつか、本誌の方で、つくりましょうか。堅いこと言わず、早速、グリルサラダ、つくってみましょうよ!写真、ご覧ください、これは間違いなく、うまいやつです!
ホワイトアスパラ | 3本 |
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パルメザンチーズ | 適量(あれば塊) |
オリーブオイル | 大さじ1くらい |
バルサミコ酢 | 適量(好みで) |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
パセリ | 適量 |
ホワイトアスパラの皮をむく。皮むき器で皮をむこうとすると、根元から2~3cmのところで一瞬軽く止まる場所があるので、そこまですっとむく。ここから後ろが根元になり、硬くて食べられない。同じように、アスパラ一本、ぐるっと一周むいて、根元より後ろの部分は硬いので切り落とす。
グリルパンにオリーブオイルを入れて熱しアスパラを並べ、全体を回しながら10分ほどかけてじっくり焼く。ナイフの先を刺してみて、すっと通ったら焼けていまーす!!!
焼き上がったアスパラをお皿に盛りつけ、上からパルメザンチーズをたっぷり削り、オリーブオイルと塩、胡椒で味つけし、パセリをふりかけゆで卵(材料外)を添えたら完成。
お好みでクリーム状のバルサミコ酢を足して、召し上がれ。シンプルだけれど、絶品です(クリーム状のバルサミコがない場合はバルサミコ酢を煮詰めて少しねっとりさせると良い)。
フランスではホワイトアスパラは茹でるのが一般的だが、実は、グリルも香ばしくて美味しいのだ。ボナペティ!!
文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac