大原千鶴さんの「今宵のあて」
おせちの残り物が味変する「数の子長芋ポテサラ」

おせちの残り物が味変する「数の子長芋ポテサラ」

三が日が過ぎても、まだおせちが残っている……ということはよくあること。でもそのままいただくには料理にくたびれた感があったり、食べ飽きた感があったり。そんなマンネリ気味の残り物でも簡単に手間いらずで美味しいあてになるのが、数の子と長芋でつくる一品。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、日本酒と好相性のポテサラのつくり方とそのコツを教えていただきました。

驚きの組み合わせが冷酒を呼ぶ魅惑のあてに

数の子は子孫繁栄を表す食材で、おせちに欠かせない料理です。歯ごたえの良さや上品な塩味は日本酒にぴったり。特に冷酒は最高の取り合わせですね。そのままで十分美味しいのですが、ちょっと飽きたな、時間が経ってイマイチだなと思われたときは、ひとアレンジをお薦めします。

ポテサラには長芋を使いました。加熱すると、ねっちりとした食感になり、じゃがいもよりあっさり。生とは違う美味しさになり、いつもと違うポテサラになります。長芋は電子レンジでチンすれば調理の手間が短縮され、火入れはベストに。しんなりとしたら温かいうちにフォークでつぶします。細かく、均一につぶすより、大小があるほうがいろんな食感を楽しめ、長芋独特の粘りも感じられます。

合わせる具材は数の子だけ。これをマヨネーズで和えたら完成です。ほかの具材を入れないほうが長芋の食感と数の子の歯ごたえが際立って、これだけでいいあてになるんです。

今まで試したことのない組み合わせだと思いますが、思わぬ味が生まれ、新しいつまみの世界が見えてきます。おせちのリサイクルとは思えない美味しさで、冷酒が進むこと進むこと。ぜひお試しください。

数の子長芋ポテサラのつくり方

材料材料 (2人分)

長芋100g(皮をむいたもの)
A
・ マヨネーズ10g
・ 塩少々
味つき数の子1~2本(50g)(*)
紫玉ねぎ少々

*塩数の子を塩水に浸けて塩出しし、薄皮を除いて水気を拭き取り、八方だしに漬け込んだもの。

1ポテサラをつくる

長芋は2cm幅の輪切りにする。耐熱ボウルに入れ、ふんわりとラップをし、600wの電子レンジに2分かける。温かいうちにフォークの背でつぶし、Aを加えて混ぜる。

ポテサラをつくる

2混ぜる

数の子は2cm幅ぐらいに手でちぎりながら、①に加えて混ぜる。

3仕上げる

器に盛り、7mm角に切った紫玉ねぎをちらす。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。