大原千鶴さんの「今宵のあて」
お雑煮と筑前煮が一体となった、あてになる「おつまみ雑煮」

お雑煮と筑前煮が一体となった、あてになる「おつまみ雑煮」

お正月にいただくお雑煮やおせちは、日本人の祝いの心がギュッと詰まった料理。おめでたいご馳走をあれこれいただく楽しみがありますが、お雑煮とおせちを一つにしたら、なんとお酒のあてに!海の幸、山の幸、野の幸があって、最後はお餅に行きつく「おつまみ雑煮」。お酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんに、つくり方とそのコツを教えていただきました。

珍味、筑前煮、お餅に至るまで、チビチビ熱燗と

お雑煮をお正月に召し上がる方は多いと思いますが、これをおつまみにして呑むのは難しい?いえいえ、お酒呑みは諦めません(笑)。お雑煮は郷土色豊かで、だしや具材、汁の仕立て方もさまざまですが、ここでご紹介するのは呑めるお雑煮。おせちとお雑煮を一椀にまとめたあてになる一品です。

汁気多めの筑前煮と焼き餅を盛り合わせ、珍味も添えています。いかの塩辛をつまんでチビリ、鶏肉や野菜をおつゆにつけながらつまんでまたチビリ、最後は焼き餅でまたチビリ。燗酒がお薦めですが、いろんな味をちょっとずつ楽しめるので、お酒の種類を途中で替えてもいいと思います。

つくり方は簡単です。ポイントは、筑前煮の根菜を同じくらいの大きさに切ることと、根菜とこんにゃくを胡麻油で炒めること。こうすることで火の通りが均一になり、コクが出て美味しくなります。鶏肉は皮目だけを焼き、根菜を炊いた中に入れると硬くならず、ふっくらしっとり。野菜も鶏肉も美味しく、旨味たっぷりのおつゆも美味しいんです。

一つ一つがあてになりますが、塩辛と合わせて味変させるとさらに呑めてしまいます。「この組み合わせが好き」、「これだけで呑める」、「これもあり」なんてブツブツ言いながら、どうぞお好きな味でお楽しみください。

おつまみ雑煮のつくり方

材料材料 (4人分)

鶏もも肉1枚(250g)
こんにゃく1/2袋(100g)
大根150g(皮をむいたもの)
れんこん50g(皮をむいたもの)
にんじん50g(皮をむいたもの)
胡麻油小さじ1(白)
だし400ml
薄口しょうゆ大さじ1
4個
いかの塩辛適宜
青ねぎ適宜
粉唐辛子適宜
少々
胡椒少々

1具材の下準備

こんにゃくはサッと洗って1cm幅のそぎ切りにし、ボウルに砂糖大さじ1/2(材料外)とともに入れて手でもみ、2分ほど置いてから洗って水気をきる。大根は1cm幅のいちょう切り、れんこんは1cm幅の半月切り、にんじんは1cm幅の輪切り、ごぼうは1cm幅の乱切りにする。鶏肉の両面に塩、胡椒をし、下味をつけておく。

2炒める

鍋に胡麻油を入れて中火にかけ、①のこんにゃくと根菜を加えて炒め、油が全体にからんだら、だしを加える。沸いたらアクを取り、蓋を少しずらして中火にかけ、10分煮る。

3鶏肉を焼く

フライパン(フッ素加工したもの)を中火にかけて熱し、①の鶏肉を皮目を下にして入れ、皮面だけを色よく焼く。

4煮る

②に③をのせ入れ、薄口しょうゆを加える。蓋を少しずらして弱火にかけ、12分煮る。火を止め、鶏肉を取り出して食べやすい大きさに切る。

煮る

5仕上げる

器に具材を盛り合わせて汁を張り、焼いた餅をのせる。餅の上に好みで塩辛を添え、小口切りにした青ねぎをあしらい、あれば粉唐辛子をふる。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。近著「大原千鶴のいつくしみ料理帖」(世界文化社)がある。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。