
パリではおなじみの、タイの美味しいサラダをご紹介。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。パリに住んで20年の辻さんによる、美味しさと思い出の詰まった“パリ・サラダ”のレシピです。
ぼくはタイを舞台に『サヨナライツカ』という小説を書いたことがある。なので、一時期、タイに通い詰めた。自称「タイ料理通」なのである。
ところが、なぜか、パリには本格的なタイ・レストランが多くない。なので、時々、タイ料理を食べたいと思うのだけど、これが、タイで食べるような本格的なタイ・レストランを見つけるのに一苦労した。むしろ、ベトナム料理の方が充実している。なぜなら、フランスはかつてベトナムの宗主国だったからである。
ただ、それほど美味しくはないパリのタイ・レストランのトップメニューに必ず記載されているサラダがある。サラダ・ド・ブッフ(牛肉のサラダ)なるものである。
これが実にうまいのだ。しかし、ぼくがタイを旅していた頃、この牛肉のサラダなるものにお目にかかることは稀であった。パリ在住のタイ人に訊いたら、牛肉が高価だからね、庶民には手が届かないんだ、とのこと。なるほど、それでサラダ・ド・ブッフは海を渡り、ここ、パリでエキゾチックな要素が花開くことに。フランス人にとって、この柔らかい牛肉のレア感がたまらなかったのである。
ということで、今日は、このパリではおなじみ、「タイ風牛肉のサラダ」をご紹介したいと思うのである。
| 牛赤身肉 | 200g(塊、ステーキ用) |
|---|---|
| サラダ菜 | 少々 |
| もやし | ひとつかみ |
| きゅうり | 1/4本 |
| コリアンダー | 4本 |
| ミント | 2本 |
| 塩 | 適量 |
| 胡椒 | 適量 |
| レモングラス | 1本 |
| ★ ドレッシング | |
| ・ 紫玉ねぎ | 1/8個 |
| ・ 赤唐辛子 | 1本(生、小口切り) |
| ・ にんにく | 1片(粗みじん) |
| ・ ライム汁 | 大さじ2 |
| ・ サラダ油 | 大さじ2 |
| ・ ナンプラー | 大さじ2 |
| ・ 砂糖 | 小さじ1と1/2 |
| ピーナッツ | 少々(飾り用) |

肉に塩、胡椒をし、刻んだにんにくとサラダ油大さじ1(各分量外)をからませ、30分ほど常温で置いておく。

小さなフライパンに小口切りにしたレモングラスと水を大さじ2入れ、沸騰して水がなくなるまで火を入れる。

小さな容器に、②とドレッシングの材料を入れ、よく混ぜておく。

フライパンをよく熱し、肉を一気に焼く。にんにくが焦げてしまうので、マリネしていたサラダ油とにんにくを別の皿に取り除いてから、強火で両面をさっと焼く(両面で1分くらい)。

肉を取り出し、アルミホイルに包んで少し休ませる。
④のフライパンに、マリネに使ったサラダ油とにんにくを入れ、余熱でカリカリ・ガーリックをつくっておく。
皿にサラダ菜、軽く湯がいたもやし、小さめに切ったきゅうりを並べ、その上に⑤の肉を薄切りにして並べる。
③の具だくさんのドレッシングをたっぷりかけ、ザクザクと切ったコリアンダーとミントを散らし、最後に⑥のカリカリ・ガーリックと砕いたピーナッツをふりかけたら、タイ風牛肉のサラダ=サラダ・ド・ブッフの完成である。

「サヨナライツカ」なんて言わないで、ぜひ、皆さんで仲良く、よく混ぜ混ぜしてから、はい、ボナペティ!
文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac