ステーキには西洋わさびがつきもの……。その発想をもとに、コンビーフとわさび漬けを混ぜてトーストにのせた和洋折衷のおいしさ。ロゼワインとともに堪能あれ。「パンはご飯や豆腐と一緒で、幅広い味を受け入れてくれるもの。酒場のメニューに上るようなものは、たいがいトーストの具になります」と「酒亭 沿露目」の店主大野尚人さん。その言葉通り、和あり、洋あり、中華風ありの、多種多様なおつまみトーストを16品習いました。さらに、大野さんお薦めの酒も合わせてご紹介。トーストの新境地がここに!
「パンはご飯や豆腐と一緒で、幅広い味を受け入れてくれるもの。酒場のメニューに上るようなものは、たいがいトーストの具になりえるし、パンを焼いたお焦げ的な香ばしさは酒によく合うんですよ」だからトーストづくりは楽しい。
そう話す酒亭「沿露目」の店主、大野尚人さんが考案してくれたのは、驚くほど多彩なつまみトーストだ。甘じょっぱいきんぴらを具にしたトーストに、豆腐と天かすをのせた型破りなトースト。夜のバーで味わえそうなオイルサーディンを使ったしゃれっ気ある一品に、餃子のタネをのせたがっつり系……。和あり、洋あり、中華風あり。トースト込みで、食感や香りのバランスまで考えられた一体感あるおいしさに唸るものばかり。何より、口にすれば自然と酒に手が伸びるのだから酒好きにはたまらない。
「コツは、酒が進むようメリハリある味に仕上げること。パンがニュートラルなので、具はやや濃いめに味つけするといいですね」と大野さん。冒頭のとおり香ばしさが酒に合うので、「パンをこんがり焼くことも大事」ともいう。
推奨する酒がまた呑み助に刺さる。和風のトーストに濁り酒のソーダ割り、中華風には紹興酒のトニック割りなど、合わせればぴたりとハマって思わずにやり。トーストつまみ、酒飲みの新しい楽しみ方になりそうだ。
トーストとコンビーフの相性は抜群。濃厚な味?と思いきや、つんとした辛みのわさび漬け、酸っぱいすだちの効果で後味はさっぱり。酸味あるロゼワインともばっちり合う。
食パン | 1枚(6枚切り) |
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A | |
├ コンビーフ | 80g |
├ わさび漬け | 40g |
├ マヨネーズ | 小さじ1 |
├ 醤油 | 少々 |
└ 胡椒 | 少々 |
すだち | 適量 |
ボウルにAを入れてよく混ぜる。
食パンをトースターでこんがり焼き、①をまんべんなくぬる。すだちの果汁を絞りかけて食べる。
1980年、千葉県生まれ。大学時代から酒場巡りに高じる。サラリーマンになるも、飲食業への憧れから、会社を辞めて調理師専門学校で和食を学ぶ。卒業後は「銀座KAN」や市ヶ谷の「煮込 肴 あて」で修行し、2013年に独立。好きで通い詰めた今は無き名酒亭「浅七」のあった門前仲町に「酒亭 沿露目」を開いた。16年には同町にレモンサワーを看板にした「酒肆一村」、22年には月島にホッピーに焦点を当てた「酒房蛮殻」を展開。
文:安井洋子 撮影:竹之内 祐幸