釣って、食べる。
釣って、食べる。甘鯛・イトヨリ編

釣って、食べる。甘鯛・イトヨリ編

dancyu11月号「アウトドア」特集で掲載した「釣って、食べる。」企画では、釣り好きとして知られる自由が丘「mondo」のシェフ・宮木康彦さんとソムリエ・田村理宏さんが自身で釣った魚を調理して、珠玉の逸品へと昇華しました。今回のターゲットは、焼いても、揚げても美味しい甘鯛とイトヨリ。キャッチ&リリースではなく、“キャッチ&ストマック”という楽しくて美味しいアウトドアフィッシングが開幕です。dancyuWEBでは、レシピも含め詳細をご紹介します。本誌記事と併せてお楽しみください!

晴天の中、釣りがスタート。果たしてその結果は?

9月某日の早朝、羽田空港近くの港から、釣り好きで知られるイタリアンレストラン「mondo」のシェフの宮木康彦さんとソムリエの田村理宏さんを乗せた船が出航した。プライベートでも船釣りを楽しむという二人とともに、狙うは高級魚の甘鯛。さらに、甘鯛狙いでいけば、同じくらいの水深にいるほかの魚、たとえばイトヨリなどが釣れるだろうという目論見だ。

おにぎりを食べてゆったり構える二人。

「mondo」の二人は、水しぶきをあげて進む船上でゴロンと寝転ぶ。お、どうやら寝はじめたようだ。おそらく、体力温存を図っているのだろう。しかし、釣れるか、釣れないかドキドキのスタッフチームとはちがい、この大仰さが頼もしい。なにせ釣りは自然相手のこと。これくらいの余裕がちょうどいいのかもしれない。

東京湾を1時間ほど南下し、船は東京湾の入り口あたりのポイントに到着。船長の掛け声が試合開始のゴングとなり、晴天の下、本日の釣りがスタート。

やることは、餌のオキアミを二本針につけて、ドボンと海中に落とすだけ。釣り糸が勢いよく出て行き、おもりが海底に着いたら、1メートル分だけ巻き上げる。甘鯛はその辺りにいる。あとはアタリを待つだけ。アタリにゆっくりと合わせて魚がかかれば、電動でウィーンと釣り糸を巻き上げ、魚を一気に釣り上げるという寸法だ。シンプルではあるけれど、餌の位置を20センチ上下させるだけで釣果に響くらしい。

開始早々、宮木シェフがトラギスを釣り上げると、これが呼び水となり、それから先は不安なんて吹き飛ぶ展開に。次々と魚が釣れ、本命の甘鯛も35cmを超える立派な魚体を釣り上げた。

立派な甘鯛を釣り上げ、満面の笑みの宮木シェフ。

「mondo」きっての釣り師である田村さんが「今日は宮木に完敗だ」と白旗をあげたほど、この日の宮木シェフは絶好調!甘鯛をはじめ、イトヨリ、ホウボウ、ヒメコダイ、レンコンダイとがしがし釣っていく。

終盤になり、田村さんもかわいいサイズの本命を釣りあげ、本日の釣りは終了。最終的な釣果は、スタッフ3名と合わせて14種50尾を超える大漁。天気にも恵まれ、海の上という開放的な空間でみっちり釣りを楽しんだ二人は、満面の笑みを見せた。

海からテーブルまで。

さて、お楽しみの第二章はこれから。

「捌いたことがない魚をおろすのって、最高に楽しいんです」と話しながら、どんどんと捌いていく宮木シェフ。丁寧に捌かれた魚は美しく、すでに美味しそうだ。今回は甘鯛とイトヨリを中心に、骨ごと食べられる小魚のフリットミストや、一尾丸ごと調理したムニャイヤ(ムニエル)、あらからとっただしを吸わせた旨味たっぷりパスタなど、バラエティに富む7品を披露!

料理

水平線を眺めながら釣りを楽しみ、食材である魚たちに感謝して、珠玉の7品を堪能する。海の恵みへの感謝なのか、「いただきます」が自然と口に出る。釣って食べるを満喫しただけでなく、ファームトゥテーブルならぬ、“シートゥテーブル”を目の当たりにできたことは、釣りというアウトドアスポーツが持つ、醍醐味の一つにちがいない。

文:小林真理 撮影:岡本寿

店舗情報店舗情報

mondo
  • 【住所】東京都目黒区自由が丘3‐13‐11
  • 【電話番号】03‐3725‐6292
  • 【営業時間】11:30~13:00(L.O.)/18:00~21:00(L.O.)
  • 【定休日】水曜、第1・3木曜
  • 【アクセス】東急東横線・大井町線「自由が丘」駅正面口より徒歩8分