ポルトガルの家庭料理
晴れの日に食べたい旨味たっぷりの"鴨ご飯"

晴れの日に食べたい旨味たっぷりの"鴨ご飯"

鴨肉と野菜の旨味が染み出ただしで、ご飯を炊きます!手の混んだ料理ですが、一度つくったら虜になる美味しさです!日本人に合う、シンプルで美味しいポルトガルの食文化に魅せられ、かの地に通って料理を教わった馬田草織さんに家庭料理のあれこれをご披露いただきました。

ポルトガルの米料理

ポルトガル料理が日本人になじみやすいのは、米料理がたくさんあることも理由の一つではないでしょうか。炊いてから仕上げにオーブンで焼く鴨ご飯のようなごちそうから、素朴なたこご飯、汁気の多い魚介のご飯など、具や仕上げ方などに、たくさんのバリエーションがありますが、どのご飯も、はじめにレフォガードと呼ばれる玉ねぎとにんにくを炒めたベースをつくるのが基本。スペインならここにトマトが入ったりしますが、ポルトガルは素朴なのです。現地では長粒米を使い、パラリとした炊き上がり。日本米だと粘りが出すぎるので、ここでは日本米と押し麦を混ぜて、パラッとした仕上がりになるようアレンジしました。

“鴨ご飯”のつくり方

ハレの日につくられるごちそう。素朴な外見ながら、米の一粒一粒にしみ込んだ、だしの旨味が、贅沢な気分にさせてくれる。

材料材料 (4~6人分)

1合(*1)
押し麦1合
骨付き鴨もも肉2本(500g)
玉ねぎ1個
にんじん中1本
長ねぎ(青い部分)2~3本分
セロリ(茎と葉)1/2本分
にんにく2片
ラード大さじ3
赤ワイン200ml(*2)
500ml
ローリエ2枚
サラミ(薄切り)12枚(*3)
適量
黒粒胡椒適量

*1:米は軽く洗って水をきっておく。
*2:赤ワインは、もしあればポートワインを使うとより本格的になる。
*3:サラミはスペイン産のチョリソ(辛くないもの)を使用。

1肉の下ごしらえ

鴨肉は両面にしっかりと塩をふり、30分ほどおく。

肉の下ごしらえ

2野菜の下ごしらえ

玉ねぎは1/4個をみじん切りにして、残りはくし形切りにして1枚ずつばらしておく。にんじんは皮付きのまま長さを半分に切ってから縦に四つ割りに、セロリの茎は縦に半分に切る。にんにくは1片をみじん切り、もう1片は軽くつぶす。

野菜の下ごしらえ

3肉に焼き色を付ける

厚手の鍋にラード大さじ2を入れて熱し、鴨肉を並べ、両面にしっかりと焼き色をつける。

肉に焼き色を付ける

4スープをとる

3に玉ねぎのくし形切り、にんじん、セロリ、長ねぎの青い部分、つぶしたにんにく、赤ワイン、水、ローリエ、黒粒胡椒をつぶして加えて蓋をし、強火にかける。沸いたら弱火にして30分煮る。途中、水分が減ったら適宜水を足す。

スープをとる

5肉をほぐす

鴨肉がやわらかく煮えたら火からおろし、そのまま粗熱を取る。スープをこしてとりおき、鴨肉は骨をはずして肉を細かくほぐす。野菜類はここで役目終了だが、鴨肉のだしを吸っておいしいので、捨てずに楽しもう。

肉をほぐす

6玉ねぎを炒める

あいた鍋にラード大さじ1を入れて熱し、玉ねぎとにんにくのみじん切りを入れる。ざっと混ぜてから蓋をし、弱火で蒸し炒めにする。

玉ねぎを炒める

7スープを加える

玉ねぎが透き通ったら、米と押し麦を加え、全体に油がなじむまで炒める。なじんだら、とりおいていたスープを500ml注ぎ、塩で味をととのえる。スープが500mlに満たない場合は水を足して調整する。

スープを加える

8炊く

蓋をして強火で2~3分加熱し、沸いたらごく弱火にして12分ほど炊く。炊き上がったら火を止め、全体を軽く混ぜる。

炊く

9蒸らす

たまった蒸気が米に落ちないよう、間に布をかませて蓋をし、5分蒸らす。蒸らし上がったら再度軽く混ぜる。

蒸らす

10仕上げ

耐熱容器に9のご飯の半量を敷き詰め、5の鴨肉を重ねる。その上に残りのご飯を覆いかぶせる。表面にサラミを並べ、200℃に予熱したオーブンで表面がこんがりとするまで12~13分焼く。

仕上げ
完成

教える人

馬田草織

馬田草織

東京生まれ。出版社勤務の後、ライター、編集者として活動しつつ、ポルトガル料理研究家として自宅で料理教室「ポルトガル食堂」を主宰。著書に『ようこそポルトガル食堂へ』『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』など。

四季dancyu「秋のレシピ」
四季dancyu「秋のレシピ」
A4変型判(120頁)
2021年9月13日発売/1100円(税込み)

文:鹿野真砂美 撮影:宗田育子

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。