大原千鶴さんの「今宵のあて」
油揚げに詰めて焼くだけの「オクラと納豆の焼き揚げ」

油揚げに詰めて焼くだけの「オクラと納豆の焼き揚げ」

お酒のあてに欠かせない、油揚げ。油揚げは煮ても焼いても味わい深い食材で、京都の人たちは「お揚げさん」と呼ぶソウルフードです。さらに、納豆もお酒のあての定番中の定番。お酒を愛する京女で、料理研究家の大原千鶴さんに、焼くだけで味が決まる、油揚げの一品を教えていただきました。

こんがりと焼いた油揚げとオクラ納豆がビールを呼ぶ

定番の油揚げはそれだけで美味しく、煮るとご飯に合うおかずに、焼くとお酒のいいあてになります。揚げ焼きは、大根おろしと生姜醤油でいただくのが定番ですが、油揚げの中に具を詰めるといっそう味わい深くなります。具の組み合わせ方で和洋いろいろな味になり、今回はお酒呑みが好きな納豆と胃腸にやさしいネバネバ野菜のオクラを詰め、夏バテ気味のこの季節にぴったりの一品にしてみました。味つけは納豆に付いているタレを使い、付いていない場合は醤油で代用します。

油揚げを袋状にするときは、麺棒を使って軽く上部を転がしてから開くと、破れずに開きやすくなります。オクラは、袋から出さずに塩で揉むと、板ずりをしなくても産毛が取り除けます。あとは納豆とオクラ、タレと胡麻油を混ぜ合わせてから油揚げに詰め、両面を焼くだけです。焼くときは、表面加工したフライパンを使うのが一番よく、油をひかずそのままでこんがりと焼き上がります。

香ばしい油揚げの中で納豆とオクラが一体となり、ビールが欲しくなる味わいに。シンプルな組み合わせですが、食べ飽きないあてになります。

オクラと納豆の焼き揚げのつくり方

材料材料 (2人分)

オクラ4本(40g)
長ねぎ20g
A
・ 納豆1パック(40g)
・ 納豆のタレ*1袋(納豆に付属のもの)
・ 胡麻油少々
油揚げ1枚(約14cm×10cmのもの)
醤油適量
溶きからし適量(納豆に付属のもの)

*納豆のタレが付いていない場合は醤油小さじ1/2で代用する。

1下ごしらえ

オクラは袋のままサッと水に濡らして塩適量(材料外)でもんで洗い、水気をきってガクとヘタを切り取り、荒みじんに切る。長ねぎは小口切りにする。

下ごしらえ

2オクラと納豆を合わせる

ボウルに1とAを入れてよく混ぜ合わせる。

3油揚げを開く

油揚げをまな板の上に置き、その上に麺棒を3~4回軽く均等に転がしてから、半分に切って、切り口からそっと開く。

油揚げを開く
油揚げを開く

4オクラ納豆を詰める

3に、2を等分に詰め、竹串などで切り口を縫うように留める。

5焼く

フライパンに並べ入れ、中火で両面をこんがりと焼く。

焼く

6仕上げる

串を外し、半分に切って器に盛る。醤油をかけ、お好みで溶きからしを添える。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。