異国情緒が漂うスパイスとハーブを使ったチーズトーストです。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
日差しが強くなってくると、ガラスの器に手が伸びるという方は多いのではないでしょうか。器と料理の組み合わせを提案する店〈カモシカ〉を主宰しているオカズデザインもまたしかり。季節問わず、さまざまな器を使いこなしているとはいえ、これからの季節はやっぱり厚手の陶器の出番が減り、磁器や金属、ガラスといった涼しげな器を使うことが多くなるのだとか。
「ガラスはなんといってもクリアな輝きが魅力。じめじめと鬱陶しい梅雨の時期でもガラスを使えば、夏の兆しを感じさせるような清涼感を演出できます。また、うだるほど暑くて食欲がなくなるような日も、軽やかなガラスの器に助けられることが多々あります」
そんなオカズデザインの食器棚には、無色透明のガラスだけでも、アンティークのグラスから作家ものの大鉢までかなりの量が。色のついたガラスも、光を通すとぼんやりと透け感があり、目から涼を取り入れることができそうです。そしてガラス独特の光沢は、真っ赤に熟れたトマトやつややかなピーマン、弾けるようにみずみずしいなすなど、目にも鮮やかな夏野菜の彩りを引き立たせてくれるという効果も。
「ごまかしがきかず、盛りつけが難しいのでは?」と敬遠しがちな声も聞きますが、難しく考えなくても大丈夫。シンプルに、潔く盛りつけるだけで、トーストだってサラダだって、いつもの料理がすがすがしく見えるんです。今回も、ガラスの器に盛りたくなる絶品レシピをたっぷりとお届けします。
朝ごはんの定番であるチーズトーストも、スパイスとハーブの風味を加えたら、どこか異国の味わいに。つくり方はとっても簡単。クミンシードを熱したオリーブオイルを食パンに塗り、チーズをのせて焼くだけです。仕上げに“追いクミンオイル”をして、ディルをどっさり。石川昌浩さんのプレーンなガラスの平皿にのせると、まるでトーストが水の上に浮かんでいるかのように涼しげでしょう。朝ごはん用に考案しましたが、実はお酒にもよく合うんですよね(笑)。
角型食パン | 2枚(6枚切り) |
---|---|
チーズ | 60g(エメンタールやサムソーなど) |
オリーブオイル | 大さじ2 |
クミン | 小さじ1(シード) |
塩 | 少々 |
フレッシュハーブ | 適量(ディルやチャイブなど) |
フライパンにオリーブオイルとクミンを入れ、弱火にかける。香りが出たら火を止める。
角型食パンに1のクミンオイルをクミンシードごと大さじ1/2ずつ均等に塗る。
2の上にエメンタールチーズをスライスして並べる。
予熱したトースターまたは220℃のオーブンで焼く。チーズが溶けて、全体に焼き色がつくまで。
残りのオイルを回しかけ、塩をふる。器に盛り、ハーブをたっぷりとのせる。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
文:藤井志織 写真:伊藤達也