器を引き立たせるレシピ
スパイスとハーブが爽やかに香る"クミンとディルのチーズトースト"

スパイスとハーブが爽やかに香る"クミンとディルのチーズトースト"

異国情緒が漂うスパイスとハーブを使ったチーズトーストです。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。

Lesson5 ガラスの器

ガラスの器とは?
ガラスの歴史は古く、用途によって使い分けられているため種類も多い。一般的な食器に使われているのはソーダ石灰ガラスと呼ばれるもの。かたくて酸にも耐性があり、表面がなめらかで汚れやにおいを落としやすいのが特徴。宙吹きや型吹き、鋳造、プレスなど、成形方法によって形やディテールが異なる。さらに表面に細かな凹凸をつけた磨りガラスや色ガラス、ガラス素地の上に色ガラスをかぶせたもの、耐熱性のものなどもある。

日差しが強くなってくると、ガラスの器に手が伸びるという方は多いのではないでしょうか。器と料理の組み合わせを提案する店〈カモシカ〉を主宰しているオカズデザインもまたしかり。季節問わず、さまざまな器を使いこなしているとはいえ、これからの季節はやっぱり厚手の陶器の出番が減り、磁器や金属、ガラスといった涼しげな器を使うことが多くなるのだとか。
「ガラスはなんといってもクリアな輝きが魅力。じめじめと鬱陶しい梅雨の時期でもガラスを使えば、夏の兆しを感じさせるような清涼感を演出できます。また、うだるほど暑くて食欲がなくなるような日も、軽やかなガラスの器に助けられることが多々あります」

そんなオカズデザインの食器棚には、無色透明のガラスだけでも、アンティークのグラスから作家ものの大鉢までかなりの量が。色のついたガラスも、光を通すとぼんやりと透け感があり、目から涼を取り入れることができそうです。そしてガラス独特の光沢は、真っ赤に熟れたトマトやつややかなピーマン、弾けるようにみずみずしいなすなど、目にも鮮やかな夏野菜の彩りを引き立たせてくれるという効果も。
「ごまかしがきかず、盛りつけが難しいのでは?」と敬遠しがちな声も聞きますが、難しく考えなくても大丈夫。シンプルに、潔く盛りつけるだけで、トーストだってサラダだって、いつもの料理がすがすがしく見えるんです。今回も、ガラスの器に盛りたくなる絶品レシピをたっぷりとお届けします。

清涼感のある朝ごはん“クミンとディルのチーズトースト”

朝ごはんの定番であるチーズトーストも、スパイスとハーブの風味を加えたら、どこか異国の味わいに。つくり方はとっても簡単。クミンシードを熱したオリーブオイルを食パンに塗り、チーズをのせて焼くだけです。仕上げに“追いクミンオイル”をして、ディルをどっさり。石川昌浩さんのプレーンなガラスの平皿にのせると、まるでトーストが水の上に浮かんでいるかのように涼しげでしょう。朝ごはん用に考案しましたが、実はお酒にもよく合うんですよね(笑)。

材料材料 (2人分)

角型食パン2枚(6枚切り)
チーズ60g(エメンタールやサムソーなど)
オリーブオイル大さじ2
クミン小さじ1(シード)
少々
フレッシュハーブ適量(ディルやチャイブなど)

1クミンを火にかける

フライパンにオリーブオイルとクミンを入れ、弱火にかける。香りが出たら火を止める。

2食パンにオイルを塗る

角型食パンに1のクミンオイルをクミンシードごと大さじ1/2ずつ均等に塗る。

3チーズを乗せる

2の上にエメンタールチーズをスライスして並べる。

4トースターで焼く

予熱したトースターまたは220℃のオーブンで焼く。チーズが溶けて、全体に焼き色がつくまで。

5仕上げ

残りのオイルを回しかけ、塩をふる。器に盛り、ハーブをたっぷりとのせる。

仕上げ

教える人

オカズデザイン

2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。

四季dancyu「夏のレシピ」
四季dancyu「夏のレシピ」
A4変型判(120頁)
2021年6月11日発売/1100円(税込み)

文:藤井志織 写真:伊藤達也