器を引き立たせるレシピ
食欲をそそる海の香り"しらすバタートースト"

食欲をそそる海の香り"しらすバタートースト"

朝のお腹をぐーっと鳴らすやさしい味わいのトーストとジンジャーミルクティーです。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。

Lesson4 グレートーンの器

グレートーンの器
グレートーンの器とは?
ねずみ色、灰色ともいわれる、白と黒との中間の色、グレー。グレーの釉薬を使ったものもあれば、銀彩や金属の器のように素材そのものがシルバーグレーの場合もあり。また、陶土の成分や窯入れの際の温度や状態などによって、グレーに発色する器もある。

料理と器の相性を改めて考えるこの連載。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰しているオカズデザインにとっての使いやすい形といえば、1回目にご紹介したオーバルの器でした。では「色となると?」と考えてみたら、グレートーンの器がたくさんあることに気づいたのだとか。プレーンな白でもなく、きりっと締まる黒でもなく、その間にある微妙な色。だからこそ、ほかの色の器ともしっくりなじみ、テーブルコーディネートがしやすい色といえるのかもしれません。

「白っぽいグレーから茶色っぽいグレー、赤っぽいグレー、黒に近いグレーなど、グレーのグラデーションを幅広く愛用しています。釉薬がグレーの場合もあれば、焼き締めや白漆など自然とグレーになったものもある。金属やツヤのあるもの、マットなものなど質感はさまざまですが、一様にいえるのが、料理が映えるということですね」とオカズデザイン。
特にこれからの季節は、みずみずしい山菜ややわらかな春キャベツ、フレッシュな新にんじんなど、春野菜の色はとても鮮やか。落ち着いたグレートーンの色合いが、その色彩をさらに引き立ててくれることでしょう。また、食卓や料理が洗練されて見えるといううれしい効果も。
きっとグレートーンの器の魅力に納得していただけるはず。今回も、そんな魅力的な器に盛りたくなる珠玉のレシピが満載です。

早春の、朝もやの中で “しらすバタートースト、ジンジャーミルクティー”

漆の器はハードルが高いと思われがちだけど、木工作家、渡邊浩幸さんがつくる漆の器は、トーストも似合うカジュアルな風情でデイリーに使えます。このしらすトーストは、漫画作品『海街diary』に登場するメニューをイメージしたもの。溶かしバターをからめた新鮮なしらすをこんもりとのせています。全体にバターの香りがなじんだところに海苔をのせればもう、みんなお腹がぐーっと鳴るはず。生姜たっぷりのジンジャーミルクティーを添えて。

材料材料 (2人分)

角食パン2枚(4枚切り)
釜あげしらす100g
バター30g
刻み海苔適量

1オーブンを予熱する

オーブンを180℃に予熱する。バターを湯煎にかけ、溶けたら粗熱が取れるまで冷ましておく。

2焼き色をつける

オーブンに食パンを入れ、きつね色になるまで軽く焼く。

3しらすをのせる

1の溶かしバターが固まりきらないうちにしらすとよく和え、2の上にのせる。再びオーブンに入れ、さらに3~4分焼く。

4仕上げ

海苔をのせる。

材料材料 (2人分)

生姜40g
1カップ
紅茶ティースプーン大盛り2(5g)(ウバ、アッサムなど)
牛乳140ml
生クリーム60ml
砂糖大さじ2~3

1生姜の皮をむく

生姜の皮をむき、すりおろす。皮もとっておく。

2茶葉を煮立てる

注ぎ口の付いた小鍋に水と1の生姜とむいた皮、茶葉を入れ、弱火にかける。煮立って水分が少なくなってきたら、牛乳、生クリーム、砂糖を加える。

3火を止める

沸騰直前で火を止めて蓋をし、2分おく。

4仕上げ

茶こしを通してカップに注ぎ、好みでシナモンスティックを添える。

完成

教える人

オカズデザイン

2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。

文:藤井志織 写真:伊藤達也

この記事は四季dancyu「冬のキッチン」に掲載したものです。

四季dancyu「春のキッチン」
四季dancyu「春のキッチン」
A4変型判(120頁)
2021年3月13日発売/1100円(税込み)