朝のお腹をぐーっと鳴らすやさしい味わいのトーストとジンジャーミルクティーです。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰するオカズデザインさんに、器の紹介と、その器を引き立たせる、目にも舌にもおいしいレシピを教わりました。
料理と器の相性を改めて考えるこの連載。器と料理の組み合わせを提案する店「カモシカ」を主宰しているオカズデザインにとっての使いやすい形といえば、1回目にご紹介したオーバルの器でした。では「色となると?」と考えてみたら、グレートーンの器がたくさんあることに気づいたのだとか。プレーンな白でもなく、きりっと締まる黒でもなく、その間にある微妙な色。だからこそ、ほかの色の器ともしっくりなじみ、テーブルコーディネートがしやすい色といえるのかもしれません。
「白っぽいグレーから茶色っぽいグレー、赤っぽいグレー、黒に近いグレーなど、グレーのグラデーションを幅広く愛用しています。釉薬がグレーの場合もあれば、焼き締めや白漆など自然とグレーになったものもある。金属やツヤのあるもの、マットなものなど質感はさまざまですが、一様にいえるのが、料理が映えるということですね」とオカズデザイン。
特にこれからの季節は、みずみずしい山菜ややわらかな春キャベツ、フレッシュな新にんじんなど、春野菜の色はとても鮮やか。落ち着いたグレートーンの色合いが、その色彩をさらに引き立ててくれることでしょう。また、食卓や料理が洗練されて見えるといううれしい効果も。
きっとグレートーンの器の魅力に納得していただけるはず。今回も、そんな魅力的な器に盛りたくなる珠玉のレシピが満載です。
漆の器はハードルが高いと思われがちだけど、木工作家、渡邊浩幸さんがつくる漆の器は、トーストも似合うカジュアルな風情でデイリーに使えます。このしらすトーストは、漫画作品『海街diary』に登場するメニューをイメージしたもの。溶かしバターをからめた新鮮なしらすをこんもりとのせています。全体にバターの香りがなじんだところに海苔をのせればもう、みんなお腹がぐーっと鳴るはず。生姜たっぷりのジンジャーミルクティーを添えて。
角食パン | 2枚(4枚切り) |
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釜あげしらす | 100g |
バター | 30g |
刻み海苔 | 適量 |
オーブンを180℃に予熱する。バターを湯煎にかけ、溶けたら粗熱が取れるまで冷ましておく。
オーブンに食パンを入れ、きつね色になるまで軽く焼く。
1の溶かしバターが固まりきらないうちにしらすとよく和え、2の上にのせる。再びオーブンに入れ、さらに3~4分焼く。
海苔をのせる。
生姜 | 40g |
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水 | 1カップ |
紅茶 | ティースプーン大盛り2(5g)(ウバ、アッサムなど) |
牛乳 | 140ml |
生クリーム | 60ml |
砂糖 | 大さじ2~3 |
生姜の皮をむき、すりおろす。皮もとっておく。
注ぎ口の付いた小鍋に水と1の生姜とむいた皮、茶葉を入れ、弱火にかける。煮立って水分が少なくなってきたら、牛乳、生クリーム、砂糖を加える。
沸騰直前で火を止めて蓋をし、2分おく。
茶こしを通してカップに注ぎ、好みでシナモンスティックを添える。
2000年、吉岡秀治・吉岡知子が結成。“時間がおいしくしてくれるもの”をテーマに、書籍や広告のレシピ制作・器の開発・映画やドラマの料理監修などを手がけている。2008年より東京都杉並区にて、器と料理の店「カモシカ」を不定期でオープンし、作家の器の展示や季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。
文:藤井志織 写真:伊藤達也
この記事は四季dancyu「冬のキッチン」に掲載したものです。