大原千鶴さんの「今宵のあて」
新玉ねぎを味わいつくす「新玉ねぎのオイル焼き」

新玉ねぎを味わいつくす「新玉ねぎのオイル焼き」

生でも、加熱しても美味しい新玉ねぎのシーズンがやってきました。水分たっぷりでとろけるような食感のオイル焼きは、焼いただけとは思えない美味しさ。この連載はお酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんがご自分でも「このあてでこんなお酒を呑みたい」と思う、季節のおつまみをご紹介します。

際立つ甘みと食感がハイボールを誘います

春先の新玉ねぎは辛味が少ないから、生でも火を通してもどちらでも美味しくいただけます。今回はこの時期の新玉ねぎならではの濃厚な甘みを味わえるオイル焼きをご紹介します。ポイントは切り方と火の通し方。まずは大きめのくし切りにして見た目のごちそう感を出していきます。くし切りにする時は楊枝を刺して切り分けるとばらけることがなく、きれいなくし形がキープできます。

あとは断面に片栗粉をまぶして、油を多めに使い弱火で焼くだけです。じっくり時間をかけて焼くことによって玉ねぎの辛みが甘みに変わり、トロッとした食感になります。粉をまぶして焼いているのでキレイな焼き色がつき、味がのりにくい新玉ねぎにも醤油がからみやすくなります。旨味たっぷりのシンプルな新玉ねぎのオイル焼き。
日本酒もいいけれど、ここはハイボールですね。玉ねぎ一つで贅沢な気分で呑めるのですから、食材は生かしようです。

新玉ねぎのオイル焼きのつくり方

材料材料

新玉ねぎ1/2個(150g)(大)
片栗粉適量
胡麻油大さじ1
醤油小さじ1
赤唐辛子適宜(小口切り)

1下ごしらえ

玉ねぎは楊枝を刺して6等分のくし切りにし、断面に片栗粉をまぶす。

下ごしらえ

2焼く

フライパンに胡麻油を入れて中火にかけ、①を並べ、蓋をして火を弱め、時々焼く面を返して10分ほど蒸し焼きにする。玉ねぎがしんなりしたら醤油を回し入れ、全体にからめて火を止める。

3仕上げ

器に盛り、あれば唐辛子をあしらう。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。