みんなが大好きな食材を使った前菜になるサラダのレシピです。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。パリに住んで20年の辻さんによる、美味しさと思い出の詰まった“パリ・サラダ”のレシピです。
実は、フランスのスーパーで一番驚いたのがスモークサーモン売り場の専有面積の大きさでした。ハムコーナー、チーズコーナーに負けないくらい、文字通り、幅を利かせているのです。日本だとあの赤いスモークサーモンが一般的ですが、フランスで売られているものは日本のほど赤くなく、ほとんどが上品な薄いピンク、いわゆるサーモンピンク色のものばかり。しかも種類が、ノルウェー産、スコットランド産、などいろいろとあり、その上、養殖ものと養殖じゃないものとに分かれており、毎回、選ぶのに悩むほど。そのくらい、スモークサーモンの需要が多いということ、つまり、フランス人は日頃からスモークサーモンをよく食べるわけです。
一番、多いのはブリニー(ロシア風パンケーキ)にクレームフレッシュとスモークサーモンをのせ、レモンを搾る食べ方……。余談ですけど、フランスのお寿司屋さんの一番人気もやはりサーモンでして、昔、日本ではサーモンのお寿司など見たこともなかったので、渡仏したばかりの頃、生のサーモンが食用に適しているとは知らず、やや敬遠しておりました。
ともかく、ぼくはパーティがある時、必ずこの、アボカドとスモークサーモンのディップサラダを作るのですが、この一品、あっという間に、消えてなくなります。彼らはアボカドも大好き、その上、クリームチーズも好きなので、いつも想像の倍以上は作っています。逆を言えば、驚くようなものでもないですし、大衆的な料理ではありますが、人が集まった時に、バゲットなどに塗って食べると、会話も弾むので、これは便利で外せない一品と言えるでしょう。とっても簡単なので、気楽に作ることの出来るこの前菜的なディップサラダを今日は一緒に作ってみましょう。
アボカド | 1個 |
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クリームチーズ | 36g |
スモークサーモン | 一枚 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
マヨネーズ | 大さじ1 |
生クリーム | 大さじ1 |
レモン | 大さじ1(汁) |
フルール・ド・セル | 少々(塩) |
黒胡椒 | 少々 |
エスプレット唐辛子 | お好みで(またはタバスコ) |
アンディーブ | 数枚 |
お好きな葉物野菜 | 数枚 |
まず、クリームチーズをフォークなどで潰し、そこにアボカドを加え、オリーブオイル、マヨネーズ、生クリーム、レモンの搾り汁、塩、黒胡椒を入れて、クリーム状になるまで混ぜます。
スモークサーモンを小さくカットし、1と軽く和え、器に盛りつけます。
周辺にアンディーブやベビーリーフなどの野菜を添えたら完成となります。
あっという間にできるので、レシピというほどではありませんが、不意のお客さんにも即対応出来て、しかも美味しいのでこれは便利な一皿です。ただ、アボカドは足が早いので、作り置きには適しません。日曜日の昼下がりなどに、冷えた白ワインとアボカドとスモークサーモンのディップサラダ、これはもう、マジ、最高なのです。
ボナペティ!!!
文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac