焼いた味噌を溶かし、香ばしく仕上げます。締めにもつまみにもなる一品です。「缶詰は、食材のひとつとして生かせば、いいつまみになります」と、直さんこと神戸の人気割烹「玄斎」の上野直哉さん。鮭やいわしの水煮は、仕込みいらずで、調理のひと手間を請け負ってくれる。缶汁も骨も使えば、だしも不要で、短時間で本格酒場の味になる。いまや高級食材の「くじら」は、缶詰なら手が届き、お父さんが大好きなカレーや煮込みに早変わり。鮭、くじら、いわしでつくる鮮烈な品。おつまみ塾で学んで、さあ呑もう!
冷や汁は、魚を焼いて、骨を取り除いて……、と意外と手がかかる。「水煮を使うと魚は焼かずにすむし、だしはとらなくていい。簡単、時短の料理です」と上野さん。焼き味噌と缶詰だけでつくったとは思えぬおいしさ。かき込みながら日本酒や焼酎の水割りをチビリチビリやりたくなる。
いわし水煮缶 | 1缶(150g) |
---|---|
味噌 | 大さじ1(米麹) |
絹ごし豆腐 | 100g |
きゅうり | 1/2本 |
みょうが | 適宜(好みで) |
生姜 | 適宜(好みで) |
青じそ | 適宜(好みで) |
胡麻 | 適宜(好みで) |
ご飯 | 適量 |
しゃもじにアルミホイルを巻きつけ、味噌を塗りつけてガスコンロの火であぶる。
ボウルにいわし水煮(汁は別にとりおく)と①の味噌を入れて、お玉でよくつぶす。缶詰の汁全量、冷水200m(材料外)lを加えてのばす。
水きりしておいた豆腐を手でちぎり入れ、薄く輪切りにしたきゅうりを加えて鉢に盛り、氷を浮かべる。
ご飯とともに供し、食べる前にご飯にかけ、好みでみょうが、生姜、青じその刻んだものや胡麻をのせて食べる。
大阪の浪速割烹を確立した「㐂川」の創業者・上野修三氏の次男として生まれ、歳から京都「菊乃井」で三代目主人・村田吉弘氏に師事。6年にわたって研鑽を積む。2004年に神戸・北野に和食店「玄斎」を開店。優しい人柄と手をかけながら素材を際立たせる料理にファンが多い。
文:西村晶子 写真:福森クニヒロ