和食でもイタリアンでもよく使ういわしは、煮ても焼いてもおいしい魚。お酒のつまみにもよく登場し、揚げ焼きにすると骨ごと食べられるようになります。この連載はお酒を愛する料理研究家の大原千鶴さんがご自分でも「このあてでこんなお酒を呑みたい」と思う、季節のおつまみをご紹介します。
焼き魚は、焼き加減がむずかしく、意外と家庭では敬遠されがちです。でも、オイル焼きにすると生焼きにも焼きすぎにもならず、失敗なく外はカリッと中はしっとりの焼き魚が出来上がります。いわしは10cmほどの小羽いわしを使っていて、このサイズだと骨まで食べられます。小麦粉をつけて焼くと表面がこんがりとして、グリルよりあっさり。香ばしさもあって、白ワインにとても合います。
ポイントは、最初の片面をしっかりと焼くこと。こんがり焼き色がついたらもう片面を焼き、あまり触らないようにします。最初に塩をふるだけで、焼き上がりにレモンをギュッと搾るのも美味しさの秘訣です。いわしを頬張りながらキリッと冷やしたソーヴィニヨン・ブランをいただけば、完璧なイタリアンです。
いわし | 8尾(正味180g)(小羽) |
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塩 | 小さじ1/4 |
小麦粉 | 適量 |
オリーブオイル | 大さじ1 |
ミディトマト | 2個 |
レモン | 適量 |
いわしは包丁で頭を落としてお腹の下を切り落とし、内臓を包丁の先でかき出す。手早くお腹の中を洗って水気をキッチンペーパーで拭き、全体に塩をふる。ミディトマトは小さめの乱切りにして塩ひとつまみ(分量外)をまぶしておく。
フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ、小麦粉をまぶしたいわしを並べ入れて焼く。片面をしっかり焼いたら上下を返し、両面こんがりと焼けたら、火を止める。
いわしを器に盛り、①のトマトを添え、レモンの搾り汁をたっぷりかけていただく。
京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。
文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ