「缶詰は、食材のひとつとして生かせば、いいつまみになります」と、直さんこと神戸の人気割烹「玄斎」の上野直哉さん。鮭やいわしの水煮は、仕込みいらずで、調理のひと手間を請け負ってくれる。缶汁も骨も使えば、だしも不要で、短時間で本格酒場の味になる。いまや高級食材の「くじら」は、缶詰なら手が届き、お父さんが大好きなカレーや煮込みに早変わり。鮭、くじら、いわしでつくる鮮烈な品。おつまみ塾で学んで、さあ呑もう!
じゃがいもとマヨネーズの王道コンビに鮭が加わると、ビールや白ワインの最高のつまみに変わる。缶詰の汁を活用し、缶詰を丸ごと使うのが上野さん流。「中骨と脂がいい仕事してくれるんですよ〜」鮭とじゃがいもがしっとりなじみ、頬張ると旨味が口いっぱいに広がる。
鮭中骨水煮缶 | 1缶(180g) |
---|---|
じゃがいも | 200g |
塩 | 小さじ1 |
マヨネーズ | 適量 |
バター | 5g |
胡椒 | 少々 |
香草 | 少々(あれば) |
チーズ | 適宜(好みで) |
じゃがいもはよく洗って皮つきのまま一口大に切る。
小鍋にじゃがいも、水300mlと缶詰の汁全量、塩を入れて火が通るまで約10分ゆでる。ザルにとって水きりする。
耐熱皿にバターを塗り、じゃがいもの皮側を上にして並べ、鮭中骨水煮を隙間にのせ、胡椒をふる。
オーブントースターか魚焼きグリルでうっすらと焼き色がつくまで焼く。さらにマヨネーズと、あれば刻んだ香草をかけて、焼き色がつくまで焼く。好みでチーズを加えてもよい。
●大阪の浪速割烹を確立した「㐂川」の創業者・上野修三氏の次男として生まれ、歳から京都「菊乃井」で三代目主人・村田吉弘氏に師事。6年にわたって研鑽を積む。2004年に神戸・北野に和食店「玄斎」を開店。優しい人柄と手をかけながら素材を際立たせる料理にファンが多い。
文:西村晶子 写真:福森クニヒロ