いまパリで流行り始めているという、見た目もかわいいポテトサラダのレシピです。作家、ミュージシャン、映画監督など幅広く活躍をしている辻仁成さんは、本誌の連載「キッチンとマルシェのあいだ」でも書いているように、多彩で美味しい料理をつくります。パリに住んで20年の辻さんによる、美味しさと思い出の詰まった“パリ・サラダ”のレシピです。
世の中、いろいろな人間がいるように、ポテトサラダ界にも様々なポテサラが存在しています。今日、ご紹介するのは、最近、フランスで俄に流行中の「ハリネズミ風ポテサラ」。誰がいつどういった経緯で発明したのかはよくわかりませんが、近ごろ、パリのカフェなどでもたまに見かけますし、TikTokでもレシピが紹介されていました。もちろん、専門の書籍まで出ております。どこかのシェフがこっそり出していたものが、面白がられ、広がったものと思われますし、今後、日本のレストランなどでも見かけることになるかもしれませんね。
我が家ではこれを「フランス風ポテトサラダ」または「ハリネズミ風ポテサラ」と呼んで、週末のランチなどに頂いておりますが、とにかく簡単に出来る上に、見た目が面白いので、子供受け、パーティ受けは間違いございません。フランスで見つけた書籍には「ハリネズミ野菜」というタイトルがついておりましたけど、ジャガイモに切れ目をつけて、そこに野菜とかベーコンなどを挟んでオーブンで焼くという発想が面白いですね。今回、紹介するのはりんごを挟んで、ロックフォールチーズ・ソースをかけるというものですが、他にも、ベーコンとチーズを挟んだり、ジャガイモじゃなくてズッキーニとかバターナッツ(かぼちゃ)などでやっている方もいました。中にはフルーツに無数の切れ込みを入れて、様々なもの、チョコレートとかナッツとかを挟んで、はちみつソースをかけてデザートにしている人も……。
とにかく、今後、あちこちで見かける機会が多くなると思いますので、まずはサクっと辻風のアイデアをご披露したいと思います。
ベビーリーフなどの葉野菜 | 適量 |
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じゃがいも | 4個 |
りんご | 1個 |
タイム | 3本(なくても良い) |
クルミ | 適量 |
オリーブオイル | 適量 |
ロックフォールチーズ | 50g(またはカマンベールチーズなどでも良い) |
白ワイン | 小さじ1 |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
じゃがいもをよく洗い、まな板の上に置いた菜箸でじゃがいもを挟み、下まで切れないようにじゃがいもに切れ目を入れていく(菜箸を置くことがもっとも重要です。笑)。
1/2にカットしたりんごを薄切りにし、じゃがいもの切れ目に挟んでいく。
オイルをたっぷりかけ、塩を少しふり、タイムをのせて。170℃に予熱したオーブンで1時間ほど焼く(途中、オーブン皿に落ちたオイルをじゃがいもにまとわせながら焼く)。
ロックフォールを小鍋に入れて火にかけ、鍋がふつふつし、チーズが溶けてきたら白ワイン、オリーブオイルを小さじ2くらい入れてソースにする(少し固まりが残っていても良い)。
お皿に葉野菜、焼き上がったじゃがいもを盛りつけ、軽く炒ったクルミを飾り、最後に温かいロックフォールソースをかけて召し上がってください。
葉野菜のマッシュとロックフォールにクルミ、りんごを添えたサラダはフランスの定番になりますので、その応用編ですね。
それから、ベーコンとハードチーズで作る場合は、ジャガイモをオーブンで予め火を通し、ベーコンもカリカリにある程度炒めておいてから、合体させ(チーズはそのまま)、最終段階でオーブンでこんがり仕上げるのがいいでしょう。クミンとか、カレーミックスとか、様々なスパイスとも相性が抜群なので、応用は無限です。お子さんたちの喜ぶ顔が楽しみになる、ハリネズミ風ポテサラ、ぜひ、お試しください。
文:辻 仁成 写真・協力:Miki Mauriac