大原千鶴さんの「今宵のあて」
ハレの席のおつまみになる「かんたん鴨ロース」

ハレの席のおつまみになる「かんたん鴨ロース」

クリスマス、年末年始に向けてつくっておくと重宝する、失敗しない「かんたん鴨ロース」。京都の料理研究家・大原千鶴さんは、お酒に合う季節のおつまみをつくります。この連載はお酒を愛する大原さんがご自分でも「このあてでこんなお酒を呑みたい」と思う、季節のおつまみを紹介します。

赤ワインとも日本酒ともよく合う鴨ロース

クリスマスやお正月のおもてなしやおつまみに重宝する「鴨ロース」。でもつくるとなるとハードルが高いと思う方が多いようです。むずかしいのは火入れで、中がレアだったり、火が入りすぎてパサついたり。でも、このつくり方だと、簡単で失敗がありません。

まず鴨肉の皮面を2分間ほど焼き、こんがりとした焼き色をつけて裏返して身はサッと焼きます。皮をよく焼くことで余分な脂が取れ、さっぱりとした仕上がりに。あとはこれを煮汁の中で火入れするだけ。柔らかく火が入るように鴨肉は煮汁に浸かる状態で。小鍋を使うとうまくいきます。時々上下を返し、身が硬くならないように煮汁は沸かさないことが大切。身を押してみて手のひらくらいの弾力になっていたら完成です。そのまま冷ましてひと晩おけば味がなじんで、しっとりとした鴨ロースに仕上がります。ロゼ色を生かすには食べる直前に切ること。黒胡椒を効かせると赤ワインのおつまみになり、からしを添えると日本酒とも合います。

汁につけた状態で5日間冷蔵保存できるので、年越しそばやおせち用、たくさんつくって新年の手土産にしていただいても。残った汁は炊き込みご飯やきんぴらの調味料として使えます。

材料材料 (作りやすい分量)

鴨ロース肉1枚(400g)
少々
胡椒少々
A
・ だし300ml
・ みりん120ml
・ 醤油120ml
★ ねぎだれ
・ 白ねぎ20g(粗みじん切り)
・ 柚子果汁小さじ1
・ 柚子皮少々(みじん切り)
・ 太白ごま油少々
・ 塩2つまみ
粗挽き黒胡椒適宜

1焼く

鴨肉に塩、胡椒をふり、中火で熱したフライパン(表面加工したもの)で皮から焼き、表面にこんがりと焼き色がついたら返し、身をサッと焼く。

2煮る

鍋にAの調味料を入れて中火にかけ、ひと煮立ちしたら①を加える。沸かさないように火加減を調節しながら、10~15分ほどかけて煮る。時々上下を返して中をロゼに仕上げ、火を止め、そのまま冷ます。

煮る

3ひと晩置く

②を汁ごと保存袋に移し、冷蔵庫でひと晩置く。

4仕上げ

食べる直前にスライスして器に盛り、合わせておいたねぎだれをかけ、好みで粗挽き黒胡椒をふる。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。