大原千鶴さんの「今宵のあて」
ビールとも日本酒とも合う「からし大根」

ビールとも日本酒とも合う「からし大根」

何かと忙しい12月にぴったりの簡単で長く楽しめる「からし大根」。京都の料理研究家・大原千鶴さんは、お酒に合う季節のおつまみをつくります。この連載はお酒を愛する大原さんがご自分でも「このあてでこんなお酒を呑みたい」と思う、季節のおつまみを紹介します。

長く楽しめる即席漬け

「からし大根」って、「からし蓮根」みたいなもの?同じピリ辛味ですがこれはお漬物風。調味料を合わせた漬け地の中に大根を入れるだけで出来上がる、簡単な一品です。漬け地にビールを使っていて、これが発酵の元になるんです。甘辛くてビールの香りがして、ビールはもちろん日本酒のあてにもなる、万能おつまみです。


大根は皮をむいて、縦半分に大きめに切ります。これを漬け汁に入れて、あとは冷蔵庫の中で放置するだけ。保存袋から汁漏れすると匂いが出るので、袋を二重にするか、密閉容器に入れて保存するのがお薦めです。なので、大根は容器に収まる適当な大きさに切るのが良いですね。


漬けて1週間後から食べられ、2週間後くらいが一番美味しいと思います。冷蔵すれば2カ月くらい持ち、熟成されて味が少しずつ変わっていきます。若くて味が浅いうちはビールに合い、深い味わいのIPAブラウンビールがおすすめ。長く置くとビール香が飛んで味が深まり、日本酒にぴったりです。粗削りのかつお節を添えてどうぞ。

材料材料 (つくりやすい分量)

大根300g
A
・ きび砂糖30g(ざらめでも可)
・ 塩12g
・ 和からし6g(粉)
・ ビール30ml
・ 米酢15ml
削り節適宜
材料

1下ごしらえ

大根は皮をむいて縦4等分に切る。

2漬ける

Aを保存袋に入れてもみ、からしが溶けたら①を加えて袋の口を閉じる。保存容器に入れて冷蔵庫で一週間ほど置く。時々上下を返してまんべんなく漬物液が行きわたるようにするとよい。

3仕上げ

食べやすい大きさに切って器に盛り、あれば削り節を添える。

完成

教える人

大原千鶴 料理研究家

大原千鶴 料理研究家

京都・花脊の料理旅館「美山荘」が生家。小さな頃から自然に親しみ、料理の心得を学ぶ。現在は家族五人で京都の市中に暮らし、料理研究家としてテレビや雑誌、講習、講演など多方面で活躍。シンプルなレシピに定評があり、美しい盛りつけにもファンが多い。着物姿のはんなりとした京女の印象とは対照的に、お酒をこよなく愛す行動派。レシピはお酒を呑んでいる時に思いつくのが一番多い。

文:西村晶子 撮影:福森クニヒロ

西村 晶子

西村 晶子 (ライター・編集者)

関西在住のライター、時々編集者。京都の和食を中心に、老舗から新店までを分け隔てなく幅広く取材。2006年8月号「明石の老舗に、至福の柔らか煮、タコ飯を習う」で初執筆。2018年5月号より「京都『食堂おがわ』の季節ごはん」、2021年5月号より「京都『食堂おがわ』の妄想料理帖」の連載を担当。