ビールつまみの定番、唐揚げと春巻きを新しいおいしさに!東京・西麻布「エネコ東京」の総料理長・磯島仁さんに教わるビールのつまみレシピ。第4回は揚げ物。スペイン三つ星の味を届ける一流シェフのアイデアと技で、唐揚げと春巻きが進化します。ビールとの相性はもちろんばっちり。
“夏のビールのつまみ”を1回2品、5回連続で計10品のレシピを紹介するシリーズの第4回。
今回のテーマは、鶏唐揚げと春巻きです。どちらもビールつまみの定番中の定番で、たくさんのレシピが紹介されています。そこで、スペイン料理の発想で新しいおいしさがつくれないかな、と考えたのが今回の2品です。
1品目の“鶏唐揚げ ライム風味”は、文字通りライムがポイント。基本的にはいつものレモンをライムに変えただけですが、唐揚げにライムの皮をすり下ろすこと、そしてライム果汁でつくるソースがひと工夫。レモンにはない青々しい爽やかさが生まれ、唐揚げを食べてビールを飲むと、口の中でビールとライムのカクテルが出来上がるような感覚を味わっていただけると思います。
2品目の“鶏ささみとチーズの春巻き”は、スペインの郷土料理「鶏肉のバスク風煮込み」を再構築したものです。オリジナルは素朴な鶏肉のトマト煮込みですが、使う素材を一つ一つ際立たせ、春巻きの中に巻き込みました。パリッとした皮の下はフワッとした鶏ささみ、その中からバスク風煮込みの味が次々と現れてきます。
最後にもう一つ、お好みで食べる辣油を用意して、少しかけながら食べてみてください。味わいがアグレッシブに変化して、ビールとのインパクトのあるペアリングが楽しめますよ。
すり下ろした皮の香りがフレッシュ。ソース(右奥)にはライム果汁がたっぷり入っています。唐揚げだけ、ライムを搾る、ソースをつけて……。一品で、何種類ものペアリングが楽しめます。
鶏もも肉 | 2枚(一口大に切る) |
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ライム | 1/2個(搾り汁と皮に分ける(レモンでも可)) |
A 下味 | |
・ ヨーグルト | 30g |
・ ナンプラー | 小さじ1(なくても可) |
・ 醤油 | 大さじ2/3強 |
片栗粉 | 適量 |
B ソース | |
・ 粒マスタード | 大さじ1弱(15g) |
・ 蜂蜜 | 小さじ2強(15g) |
揚げ油 | 適量 |
ボウルでAを混ぜ合わせ、鶏もも肉を入れてよくもみ、20~30分漬けておく。
1に片栗粉を入れ、鶏肉にまぶしていく。これが衣になる。
170℃の油できつね色になるまで揚げたら、バットなどに揚げて油を切る。
小さめのボウルでB、ライムの搾り汁を混ぜ合わせ、ソースをつくる。
3を器に盛りつけ、ライムの皮をすりおろす。好みでライムを添え(分量外)、4のソースをつけてどうぞ。
具は「鶏肉のバスク風煮込み」の再構築。パリッと揚がった皮、フワフワの鶏ささみ、具の食感のハーモニーも魅力。具に巻き込んだ焼き麩から、旨味がジュワッとあふれます。
春巻きの皮 | 4枚 |
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A 水溶き小麦粉 | |
・ 小麦粉 | 大さじ1 |
・ 水 | 大さじ1 |
鶏ささみ | 4本 |
玉ねぎ | 1個(スライス) |
赤パプリカ | 1個(スライス) |
にんにく | 1片(みじん切り) |
縦にさけるスティックチーズ | 1本(縦4等分にさく) |
セミドライトマト | 4個(粗みじん切り(なくても可)) |
アンチョビ | 1本(粗みじん切り) |
焼き麩 | 4個(軽く崩す) |
オリーブオイル | 大さじ1(サラダ油でも可) |
揚げ油 | 適量 |
フライパンにオリーブオイル、にんにくを入れて弱火にかけ、香りが出たら、玉ねぎと赤パプリカ、塩少々(分量外)を加えて6~7分、しんなりするまで炒める。火を止め、そのまま冷ましておく。
鶏ささみは筋を取り、叩いてのばす。
春巻きの皮1枚につき、2の鶏ささみ、1、縦にさけるスティックチーズ、セミドライトマト、アンチョビ、焼き麩を各1/4量ずつのせて巻き上げ、皮の縁にAを混ぜた水溶き小麦粉を塗って形を整える。
3を180℃の油でカリッと揚げる。食べる時は、好みで食べる辣油(分量外)をのせてもおいしい。
1975年、秋田県生まれ。レストラン「クイーン・アリス」で料理人としてのキャリアをスタート、2006年には舞浜店の料理長に就任する。2014年「日比谷パレス」料理長。その後、スペイン・バスク地方のミシュラン三つ星レストラン「アスルメンディ」で4カ月間の研修を経て、2017年「エネコ東京」総料理長兼支配人。エネコ・アチャ氏より、絶大な信頼を受ける。
ENEKO Tokyo (エネコ東京)
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写真:牧田健太郎