タコとカツオ。旬の魚介類が、スペイン三つ星の味のメソッドで大変身!東京・西麻布「エネコ東京」の総料理長・磯島仁さんに教わるビールのつまみレシピ。第5回のテーマは夏の魚料理。人気のスペイン料理「タコのガリシア風」「白ガツオのトマト煮」のおいしさを、簡単ビールのつまみでどうぞ。
日本人にとって、魚料理は長い歴史の中で育まれてきた大切な食文化。そして実はスペインも、魚が食文化の中で欠かせない存在となっています。
“夏のビールのつまみ”レシピを5回連続で計10品紹介するシリーズの第5回。今回のテーマ食材は、日本とスペインの両国で愛されるタコとカツオです。
1品目の“タコとじゃがいものスペイン風”は、日本でも人気の「タコのガリシア風」をビールのつまみにアレンジしたもの。
オリジナルは粉ふきいもに炒めたタコをのせ、パプリカパウダーをふっただけ。おいしいのですが、ビールのつまみとしては少しインパクトが弱いと感じていました。
そこで今回は、じゃがいもにしっかりと味を入れ、タコにはバジルの爽やかさを。そして、遊びに福神漬けを合わせて食感の楽しさも加えています。
2品目の“カツオのトマト煮”は、やはりスペインの郷土料理「白ガツオのトマト煮」をビールのつまみにアレンジしたもの。生とも煮込んだ味とも違う“半生”の火加減が、カツオの豊かな旨味と酸味を引き出し、しかも生臭さは感じさせません。
野菜のフレッシュ感を残したソースとともに、ふくよかな味わいでビールのおいしさを引き立ててくれるはずです。
改めて思うのは、ビールとは五味が絶妙にバランスした素敵な飲み物。特にアサヒビールはシャープなタイプ、味わい深いタイプなどブランドごとに個性は多彩ですが、いずれも後味がすっきりとして口の中をリフレッシュさせてくれます。
料理を常に新鮮なおいしさで味わわせてくれる、日本が誇る食文化の一つですね。
タコだけ、じゃがいもだけでも十分においしい。福神漬けが、ビールペアリングの楽しさをさらに膨らませてくれます。
ゆでダコ | 200g(厚さ5mmに切る) |
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じゃがいも | 1個(大) |
玉ねぎ | 1/2個(みじん切り) |
バジルの葉 | 3枚(みじん切り) |
福神漬け | 50g(みじん切り) |
オリーブオイル | 1/2カップ+大さじ1(サラダ油でも可) |
にんにく | 1片(みじん切り) |
鷹の爪 | 1/2本(種を取る) |
塩 | 適量 |
パプリカパウダー | 適量 |
じゃがいもは洗ってラップで包み、電子レンジで加熱。皮をむいて一口大に切る。
鍋にオリーブオイル1/2カップ、にんにく、鷹の爪を入れて中火にかける。香りが出たら1を加えて6~7分煮て、塩、パプリカパウダーで味を調える。
フライパンにオリーブオイル大さじ1、玉ねぎを入れたら塩少々を加えて弱火で炒め、玉ねぎに透明感が出たら、ゆでダコを入れて軽く炒める。
タコを加熱したいい香りが出てきたら塩少々で味を調えて火を止め、バジルの葉、福神漬けを加えて軽く混ぜる。
器に2と4を盛り合わせる。
緑パプリカの青々しい風味、鷹の爪のピリッとした辛味が爽やかさの秘密。カツオの鉄分が苦手な人でも食べやすく、半生に仕上げることでふくよかに、ビールとのペアリングが楽しめます。
カツオ | 2サク(刺身用(約400g)) |
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玉ねぎ | 1個(みじん切り) |
緑パプリカ | 1個(みじん切り(ピーマンでも可)) |
鷹の爪 | 1本(半分に割って種を取る) |
トマト | 2個(粗みじん切り) |
ホールトマト缶 | 1缶(400g) |
ケイパー | 適量 |
オリーブオイル | 大さじ1(サラダ油でも可) |
塩 | 適量 |
カツオは一口大の刺身状に切り、塩少々をふって少し置いておく。
鍋にオリーブオイル、鷹の爪を入れて中火にかける。香りが出たら、玉ねぎ、緑パプリカを入れて塩少々を加え、じっくりと炒める。
玉ねぎに透明感が出てきたら、トマトを入れて軽く炒め合わせ、ホールトマトを加えて12〜13分コトコト煮込む。ケイパーを入れ、混ぜ合わせて味見。塩で味を調える。
3の水分が抜けてソースがもったりとしてきたら、1をのせて蓋をし、火を止める。カツオが半生くらいに軽く火が通れば出来上がり。
1975年、秋田県生まれ。レストラン「クイーン・アリス」で料理人としてのキャリアをスタート、2006年には舞浜店の料理長に就任する。2014年「日比谷パレス」料理長。その後、スペイン・バスク地方のミシュラン三つ星レストラン「アスルメンディ」で4カ月間の研修を経て、2017年「エネコ東京」総料理長兼支配人。エネコ・アチャ氏より、絶大な信頼を受ける。
ENEKO Tokyo (エネコ東京)
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写真:牧田健太郎