一度食べたら忘れられない“がんもどき”のつくり方を、dancyu2021年2月号で掲載した四ツ谷「おでんやden」店主の佐藤真一さんと女将の直子さんに、教えていただきました。お店でのレシピなので、分量は多いのですが、お家でつくるときの参考にしてください!
「おでんやden」の一日を密着取材するにあたり、編集スタッフ3人で試みたのは30種類に及ぶおでん種の全制覇だ。どれもこれもおいしくて、軽々と制覇は達成。そして、もう一度、食べたい種はどれか?という話になったとき、3人が揃って指名したのは自家製のがんもどきだった。
がんもどきといえば、どちらかというと地味なおでん種。あれば食べるけれど、なくてもいい(私見です)。そんな存在だったが、この店の品は別次元だった。しっとりなめらかな口当たり、溢れ出る豆腐の優しい甘味、揚げた種ならではの香ばしさ。まさに、一度食べたら忘れられないおいしさなのである。
これをつくっているのは、女将の佐藤直子さんだ。近所の豆腐店で買っていたがんもどきを自家製に切り替えたのは8年前。高野山で食べたがんもどきに感激し、その味を再現すべく試行錯誤の末に完成させたというお宝レシピを、今回、特別に教えていただいた。
ポイントは、材料や調味料を加える度に、ハンドミキサーでしっかり混ぜ合わせていくこと。ハンドミキサーがなければすり鉢やミキサーを使うといいだろう。自家製にチャレンジすれば、がんもどきの実力を見直すこと間違いなし。揚げたてのふわふわをつまめるのも、手づくりならではの特権だ。
★ 生地 | |
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・ 木綿豆腐 | 10丁(一丁400gの豆腐を使用) |
・ 塩 | 小さじ2 |
・ 砂糖 | 大さじ1弱 |
・ 片栗粉 | 大さじ2弱 |
・ 卵 | 1個(+塩 ひとつまみ) |
・ 練り胡麻 | 大さじ3 |
・ 山芋 | 400g(+塩 ひとつまみ) |
★ 具材 | |
・ にんじん | 2本 |
・ ひじき | 25g(乾燥) |
・ しめじ | 2パック(大きいパック) |
・ 醤油 | 小さじ1 |
★ 揚げ油 | |
・ サラダ油 | 1000g |
・ 胡麻油 | 100g |
にんじんは皮を剥き、2mmの長さで1mm角の細切りにする。ひじきは水で戻してからざるにあけて水気をよく切る。しめじは石づきを落としてほぐしておく。鍋ににんじんを入れ、蓋をして弱火で5分加熱する。しんなりしたら、上にひじき、しめじの順に重ね、蓋をしてらさらに5~6分火を入れる。醤油を加え、満遍なく混ぜたらそのまま冷ます。
木綿豆腐は4つ割にしてざるに入れ、キッチンペーパーとラップをかけた上に重石をして5時間おいて水切りする。重石は水を入れた鍋などでOK。
大きいボウルに②の豆腐を手でつぶしながら入れる。水分が多いと感じたら、キッチンペーパーで水気を絞るとよい。
ハンドミキサーで豆腐がペースト状になるまでよくすり潰す。
なめらかになったら塩を2回に分けて、ハンドミキサーで混ぜながら加える。
砂糖を加えてさらに混ぜ合わせる。
片栗粉を加えたら、ハンドミキサーでさらによく混ぜる。この段階でなめらかにしておかないと山芋が混ざりにくくなる。
別のボウルに卵をほぐして塩ひとつまみ加え、⑦に加える。卵に塩を入れておくと生地の味が薄まらず、馴染みやすくなる。
練り胡麻を加えてさらに混ぜる。
山芋は皮を剥いてすりおろし、塩ひとつまみを加えてから⑨に混ぜ込む。山芋を加えると生地がもこもこして粘りも強くなる。
①の具材をざるにあけて汁気を切る。⑩の生地の端を持ち上げ、その間に具材を少しずつ加えながら混ぜる。こうすると生地にムラなく具材が混ざる。すべて混ぜ終えたら、キッチンペーパーとラップをかけ、冷蔵庫で一晩寝かせる。一晩おくことで生地がまとまりやすくなる。
鍋にサラダ油と胡麻油を入れ、火にかけて160℃に温める。
ラップに少量のサラダ油を広げ、一晩寝かせた生地をすくってのせる。1個分は65gが目安。ラップごと片手に取り、回転させながらボール型に成型する。仕上げの成型は、油を薄くつけたスプーンの背を使うとよい。
⑬を140~150度に熱した揚げ油に入れて全体がきつね色になるまで5分ほど揚げる。火が通ると膨らむのでそれも揚がり加減の目安に。すべて揚げたら冷ましておく。
おでんのだしに入れ、15分煮込めば出来上がり。
文:上島寿子 撮影:竹之内祐幸