ワインと鮨とパスタと甘いもの好きな現役編集部員が、偏愛するレシピは「ヴァッカロッサ」の野菜スープ。何度も漉してつくる透明感なスープは、弱った体を元気にしてくれます。dancyu1月号「おいしいレシピ100」で掲載した「dancyuな人たちの偏愛レシピ」。そこで登場した8品のレシピを1日ずつご紹介します!
とにかく清らかなスープです。材料はトマトと玉ねぎと塩だけ。液体が揺らぐような火加減をキープしながら4時間煮るだけなのですが、この間に分子レベルが変わったの?と思うくらい、飲むと体にスルスルとしみ込むなめらかさになります。素材からエキスだけをやさしく抽出した味は、加えていない食材の風味も感じる複雑味があり、ふとした瞬間に思い出す美味しさ。
いつも以上にお酒を飲んだ後や食べすぎたときに、このスープのおかげですっきりと。すべてをリセットする力があるのです。だから“今日は飲むぞ!”という日に、体をいたわる気持ちを込めて、仕込んでおきます。そして「あ~美味しい」と感じられたら、自分の体はまだ健全と安心するわけです。出来上がるまでに時間はかかりますが、健康維持のため、晩酌とセットでつくり続けたい。
トマト | 大1/2個(桃太郎(中2個)) |
---|---|
玉ねぎ | 大1と1/2個 |
水 | 4L |
塩 | 小さじ1/2(2.5g) |
*大鍋があればトマト大3個、玉ねぎ大3個、水8L、塩小さじ1(5g)の分量でつくれるのでお薦め。仕上がりは約2.5L。
トマトは縦半分に切り、ヘタを切り取る。玉ねぎは皮をむき、ひげ根だけを切り落とし、縦半分に切る。先に切れ端を味見して、えぐみが強ければ、外側の緑色の部分を切り取る。繊維に沿って7mm幅に切る。
鍋(今回は直径24cmの寸胴鍋を使用)に水を注ぎ、玉ねぎを入れてから、強火にかける。蓋はしない。
くつくつと沸騰し始めたら火を弱め、トマトの断面が上にくるようにして、そっと鍋に入れる。続けて塩を加える。
小さな泡がふつふつと立ち、表面に浮いた具が躍らない温度をキープしながら、4時間ほど煮る。水分の量が1/3になったら火を止める。
まずはボウルにザルを重ね、レードルでスープの上澄みをすくって漉す。ザルで漉したスープは、さらしを通して再度漉す。
残った具とスープはザルを重ねたボウルに静かに移して漉す。さらしで再度漉したら、5のスープと合わせて完成。仕上がりは約1L。
小鍋に飲む分量のスープを温める。ワッと沸いた瞬間に火を止めて味見をし、足りなければ塩(分量外)で調える。口当たりがよい、少し熱めの風呂くらいの温度で味わう。
文:石出和香子(編集部) 撮影:今清水隆宏