dancyuなフードライター・堀越典子さんの偏愛レシピは、「メツゲライ クスダ」の自家製ロースハムです。1週間手間をかけて育てるロースハムが、おいしくないわけがない!dancyu1月号「おいしいレシピ100」で掲載した「dancyuな人たちの偏愛レシピ」。そこで登場した8品のレシピを1日ずつご紹介します!
塩豚じゃなくてロースハム、というところに、まずグッときました。買うものだと決めてかかっていたのに、つくれるんだ!と。完成まで1週間。時間はたっぷりかかるけれど、、工程は「漬ける」「ゆでる」のたった2ステップ。なのに、毎日もんで塩をなじませたり、そわそわと色をチェックしたり、文字通り“手塩にかけて育ててます感”が、しっかり味わえるのが楽しい。冷蔵庫の中に、たいそう旨いもん仕込んでます、ふふふ…の満足感。上等なロースハムを塊から分厚くカットし、じゅーっとステーキに焼いて好きなだけ!という積年の野望も叶いました。
豚ロース肉 | 1~1.2㎏(塊) |
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★ ブライン液 | |
・ 塩 | 130g(細粒) |
・ 三温糖 | 40g |
・ 冷水 | 1L |
★ 用意するもの | |
・ 90cm四方のセロファン紙 | (またはさらし) |
・ たこ糸 | |
・ 温度計 |
豚肉は血の部分があれば取り除く。筋まで取ると肉がもろくなるので残しておくこと。味が入りやすいよう、赤身の部分にのみ3cm間隔で金串を刺し、穴を開ける。ブライン液をつくる。ボウルに塩と三温糖を入れ、冷やした水を少しずつ加える。泡立て器を使い、溶け残りがないよう丁寧に混ぜ合わせる。このとき、豚肉が傷まないよう冷たい状態をキープするため、水は冷やしておくこと。舐めてみて、少ししょっぱいぐらいの塩加減。鍋やボウルに豚肉を入れ、ブライン液を肉にぎりぎりかぶるぐらいまで注ぐ。ラップを落として蓋にして、空気をしっかりと抜いて密封する。肉が漬かるサイズなら、保存容器やビニール袋に入れてもOK。
1を冷蔵庫で5日~1週間置く。一日1回はブライン液から豚肉をバットなどに取り出し、20回ほど全体をもみ込んで味をなじませる。再び漬けるときは上下を返すこと。
ブライン液から豚肉を取り出す。筋が気になる場合は、このときに肉を崩さないように取り除く。セロファン紙の上に豚肉をのせ、脂身部分が丸くなるようにギューッと巻きながら包む。酸化を防ぐため、空気は抜いて!ゆでている間に形崩れしないように、たこ糸で縛る。まず、脂身の周囲を十文字になるように糸を結び、続いて1cm感覚にグルグルと巻きつける。
このまま常温に約2時間置く。室温に戻すことで急速に熟成が進み、ゆでるときの肉のストレスを減らす。
常温に2時間置いた豚肉を鍋に入れ、かぶる程度の水を加えて弱火にかける。常に水温を75℃に保ち、約2時間ゆでる。温度が上がりすぎるので蓋はしない。鍋底に氷を当て、火入れを止める。急冷することで肉汁が閉じ込められ、よりしっとりとした仕上がりになる!
たこ糸とセロファン紙を外して、ハムの出来上がり。アツアツをスライスして味わってみよう!アツアツのハムを頬張ったら、残りはゆで汁に戻す。
文:堀越典子 撮影:高見尊裕