dancyu本誌から
「メツゲライ クスダ」の自家製ロースハム|dancyuな人たちの偏愛レシピ⑥

「メツゲライ クスダ」の自家製ロースハム|dancyuな人たちの偏愛レシピ⑥

dancyuなフードライター・堀越典子さんの偏愛レシピは、「メツゲライ クスダ」の自家製ロースハムです。1週間手間をかけて育てるロースハムが、おいしくないわけがない!dancyu1月号「おいしいレシピ100」で掲載した「dancyuな人たちの偏愛レシピ」。そこで登場した8品のレシピを1日ずつご紹介します!

一本あると豊かな気持ちになる

塩豚じゃなくてロースハム、というところに、まずグッときました。買うものだと決めてかかっていたのに、つくれるんだ!と。完成まで1週間。時間はたっぷりかかるけれど、、工程は「漬ける」「ゆでる」のたった2ステップ。なのに、毎日もんで塩をなじませたり、そわそわと色をチェックしたり、文字通り“手塩にかけて育ててます感”が、しっかり味わえるのが楽しい。冷蔵庫の中に、たいそう旨いもん仕込んでます、ふふふ…の満足感。上等なロースハムを塊から分厚くカットし、じゅーっとステーキに焼いて好きなだけ!という積年の野望も叶いました。

材料材料 (つくりやすい分量)

豚ロース肉1~1.2㎏(塊)
★ ブライン液
・ 塩130g(細粒)
・ 三温糖40g
・ 冷水1L
★ 用意するもの
・ 90cm四方のセロファン紙(またはさらし)
・ たこ糸
・ 温度計

1ブライン液に漬ける

豚肉は血の部分があれば取り除く。筋まで取ると肉がもろくなるので残しておくこと。味が入りやすいよう、赤身の部分にのみ3cm間隔で金串を刺し、穴を開ける。ブライン液をつくる。ボウルに塩と三温糖を入れ、冷やした水を少しずつ加える。泡立て器を使い、溶け残りがないよう丁寧に混ぜ合わせる。このとき、豚肉が傷まないよう冷たい状態をキープするため、水は冷やしておくこと。舐めてみて、少ししょっぱいぐらいの塩加減。鍋やボウルに豚肉を入れ、ブライン液を肉にぎりぎりかぶるぐらいまで注ぐ。ラップを落として蓋にして、空気をしっかりと抜いて密封する。肉が漬かるサイズなら、保存容器やビニール袋に入れてもOK。

ブライン液に漬ける

21週間ねかせる

1を冷蔵庫で5日~1週間置く。一日1回はブライン液から豚肉をバットなどに取り出し、20回ほど全体をもみ込んで味をなじませる。再び漬けるときは上下を返すこと。

1週間ねかせる

3成形する

ブライン液から豚肉を取り出す。筋が気になる場合は、このときに肉を崩さないように取り除く。セロファン紙の上に豚肉をのせ、脂身部分が丸くなるようにギューッと巻きながら包む。酸化を防ぐため、空気は抜いて!ゆでている間に形崩れしないように、たこ糸で縛る。まず、脂身の周囲を十文字になるように糸を結び、続いて1cm感覚にグルグルと巻きつける。
このまま常温に約2時間置く。室温に戻すことで急速に熟成が進み、ゆでるときの肉のストレスを減らす。

成形する
十文字に縛れなくても、グルグルと巻きつけるだけでもよい。ただし、肉に食いこむほどきつく縛ると、ゆでたときに水分が出すぎてパサつくので注意。

4ゆでて急冷し、完成

常温に2時間置いた豚肉を鍋に入れ、かぶる程度の水を加えて弱火にかける。常に水温を75℃に保ち、約2時間ゆでる。温度が上がりすぎるので蓋はしない。鍋底に氷を当て、火入れを止める。急冷することで肉汁が閉じ込められ、よりしっとりとした仕上がりになる!

ゆでて急冷し、完成
完成
しっとりほろりとした口溶けで、実にジューシー

手づくりの特権

たこ糸とセロファン紙を外して、ハムの出来上がり。アツアツをスライスして味わってみよう!アツアツのハムを頬張ったら、残りはゆで汁に戻す。

最後まで美味しくおいしく食べるために
【保存】
ハムが冷めたら水分を拭き、空気を抜きながらラップに包んで(または真空パック機にかける)、冷蔵庫で保存。スペースがあれば、ゆで汁を戻して鍋ごと冷蔵庫に入れてもOK。
【ゆで汁の応用】
豚の旨味が溶け込んだゆで汁は、好みの野菜を煮込んでスープやリゾットのベースに。ハムを加えてゼラチンで固め、ジュレにしても。ジュレはサラダのトッピングとしても使える。

店舗情報店舗情報

メツゲライ クスダ 芦屋店
  • 【住所】兵庫県芦屋市宮塚町12‐19
  • 【電話番号】0797‐35‐8001
  • 【営業時間】10:00~18:00 イートインは11:00~17:00
  • 【定休日】水曜 第3火曜
  • 【アクセス】JR「芦屋駅」、阪神「打出駅」より各6分


文:堀越典子 撮影:高見尊裕