思わず虜になるトルコの茄子レシピ
ミートシチューの濃厚な味わいが魅力の"スルタンのお気に入り"

ミートシチューの濃厚な味わいが魅力の"スルタンのお気に入り"

トルコといえば、長きにわたって中東を支配したオスマン帝国の中心地でした。そんな強大な帝国の皇帝が好んだ料理が今では庶民のご馳走になっているとか。リッチな味わいが楽しめる茄子のご馳走をご紹介します。

皇帝を魅了した逸品

栄華を極めたオスマン帝国の君主、スルタンが好んだ料理は、今では庶民にも愛される一品。宮仕えの料理人たちが故郷に戻り味と技術を伝えたことで、宮廷料理が広く家庭に浸透したのもトルコ料理の面白さ。茄子クリームにミートシチューという、濃厚でリッチな味わいコンビに、茄子の新たな魅力を発見。少々手間はかかるけれど、つくる価値あり!おもてなしにも映える一品だ。

“スルタンのお気に入り”のつくり方

材料材料 (4人分)

【茄子クリーム】
茄子4本
レモン汁小さじ1
小麦粉大さじ1
牛乳1カップ
グリュイエールチーズ1/3カップ(削ったもの)
バター大さじ1
小さじ1/2
胡椒少々
【ミートシチュー】
牛肉※300g
玉ねぎ大1/2個(みじん切り)
A
・ にんにく1片(みじん切り)
・ トマトペースト大さじ2
・ タイム2枝
・ ローリエ1枚
・ 塩小さじ1と1/2
・ 胡椒少々
・ 水2カップ
小麦粉大さじ1
バター大さじ1
サラダ油大さじ1
タイム少々(好みで)

※牛肉の部位はどこでもよい。薄切り肉を使えば煮込み時間が短くなる。

1茄子を焼く

茄子は皮に竹串で数カ所、穴を開け、魚焼きグリルの強火で焼く。両面焼きグリルの場合は10分前後が目安(片面焼きの場合は、片面6~8分程度で表裏を焼く)。箸で挟んでみて、柔らかくなっていればOK。または、ガスこんろの五徳の上にのせ、直火で焼いてもいい。

茄子を焼く

2皮をむく

粗熱が取れたら、ヘタのほうから皮をむく。冷めるとむきにくくなるので注意。

皮をむく

3茄子をペースト状にする

茄子はヘタを取り、包丁でざく切りにしてから叩いてペースト状にする。色止めにレモン汁を混ぜる。

茄子をペースト状にする

4牛肉に下味をつける

ミートシチューをつくる。牛肉は一口大に切って塩、胡椒各少々(分量外)をふる。

5炒める

鍋にバターとサラダ油を入れて中火にかけ、玉ねぎを炒める。しっかりと甘味が出るまで炒めたら鍋の端に寄せ、空いたところに牛肉を入れて炒める。色が半分変わったくらいで小麦粉をふり入れる。肉に粉をからめるように炒め、粉気がなくなったら玉ねぎと合わせる。

炒める

6煮込む

5にAの材料を入れて混ぜ、肉が柔らかくなるまで煮込む。

7茄子クリームをつくる

鍋にバターを弱火で溶かし、小麦粉を入れて焦がさないように炒めたら、牛乳を注ぐ。ダマにならないよう、よく混ぜる。

8茄子クリームを仕上げる

7が煮立ってしっかりととろみがついてきたら、3の茄子、チーズを加えて塩、胡椒で味を調える。

茄子クリームを仕上げる

9完成

器に8を平らに敷き詰め、上に6をかける。好みで、刻んだタイムを飾る。

完成

教える人

荻野恭子さん

荻野恭子さん 料理教室「サロン・ド・キュイジーヌ」主宰。

ユーラシア大陸を中心にこれまで50ヶ国以上を訪れ、料理と食文化の研究を続けている。『家庭で作れるトルコ料理』など著書多数。

文:鹿野真砂美 写真:安彦幸枝

※この記事の内容はdancyu2016年10月号に掲載したものです。

鹿野 真砂美

鹿野 真砂美 (ライター)

1969年東京下町生まれ。酒と食を中心に執筆するフリーライター。かつて「dancyu」本誌の編集部にも6年ほど在籍。現在は雑誌のほか、シェフや料理研究家のレシピ本の編集、執筆に携わる。料理は食べることと同じくらい、つくるのも好き。江戸前の海苔漁師だった祖父と料理上手な祖母、小料理屋を営んでいた両親のもと大きく育てられ、今は肉シェフと呼ばれるオットに肥育されながら、まだまだすくすく成長中。