街中の食堂では茄子を使った料理がずらりと並び、バザールでは軒下から干し茄子たちがぶら下がる。庶民から皇帝の食卓まで、トルコ料理に茄子は必需品!東西の文化が交わり、多彩な食文化があふれる国の絶品茄子料理をご紹介します。
お坊さん(イマム)も卒倒するほどおいしいという、ユニークな名前に違わぬ美味!メゼと呼ばれる冷前菜の定番で、ロカンタ(食堂)や家庭で親しまれる人気者。素揚げし、コク出しの砂糖も加えるためか、すべて野菜なのに、一つ食べるだけで、かなりの満足度。よーく冷やして、ジューシーな茄子を堪能しよう。
茄子 | 4本 |
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玉ねぎ | 大1/2個(薄切り) |
にんにく | 1片(薄切り) |
トマト | 大1個(小さめの角切り) |
イタリアンパセリ | 3枝(粗みじん) |
塩 | 小さじ1 |
砂糖 | 小さじ1/2 |
オリーブオイル | 1/4カップ |
揚げ油 | 適量 |
茄子はヘタをつけたまま、縦に縞目に皮をむいて、塩少々(分量外)をまぶす。茄子が半分浸かる程度の揚げ油で、転がしながら柔らかくなるまで揚げる。
粗熱が取れたら、皮をむいたところに縦に切り込みを入れて開く。
フライパンにオリーブオイルを入れて中火にかけ、玉ねぎ、にんにくを炒め、しんなりとしたらトマト、塩、砂糖を入れる。さっと炒めて、トマトが少し煮くずれたら、イタリアンパセリを加えて火を止める。2の茄子の開いた部分に炒めた具を詰める。詰め切れなかった野菜や汁はそのままでOK。
具を詰めた茄子を3のフライパンに戻し、蓋をして弱火にかけ、20分ほど煮てなじませる。水分がなくなったら水を適宜足す。
粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やして食卓へ。
詰め物を肉に替えた温菜にすれば、立派なメインになる。ミートソースにトマトの角切り適宜を入れて軽く煮たものを、茄子に詰めるだけ。あとの手順はほぼ同じで、4で煮た後、温かいままテーブルへ。ちなみに、トルコ語の料理名「カルヌヤユク」は「腹切り」の意味だ。
ユーラシア大陸を中心にこれまで50ヶ国以上を訪れ、料理と食文化の研究を続けている。『家庭で作れるトルコ料理』など著書多数。
文:鹿野真砂美 写真:安彦幸枝
※この記事の内容はdancyu2016年10月号に掲載したものです。