平野由希子さんのお酒に合うクミンレシピ
シンプルで香り豊かな"クミンキャベツ"

シンプルで香り豊かな"クミンキャベツ"

ワインも、ビールも、ハイボールも!お酒に合うクミンつまみを、人気料理研究家・平野由希子さんに習いました。独特でスパイシーな風味のあるクミン。カレーに欠かせないスパイスですが、いつもの料理にふりかけるだけで印象ががらりと変わりますよ。まずはキャベツを使ったサラダです。

クミンの風味を活かして、お酒に合うつまみをつくろう!

「クミンの風味を上手に生かすと、ナチュラルなワインやクラフトビールによく合う料理が手早くできるのが魅力です」と、フレンチを得意としている料理研究家の平野由希子さん。お酒好きにはぜひ覚えてほしい、身近な料理を教わってきた。

クミン
右がクミンシードで、左がクミンパウダー。クミンはセリ科の一年草。長さ5mmほどの種子がクミンシード、それを粉末にしたのがクミンパウダーである。古代エジプト時代より使われている、最も歴史あるスパイスのひとつだ。
「クミンシードは胡麻のように使ってもいいと私は思っています。加熱はマストではありません」。と話す平野さん。今ではすっかり人気スパイスになったクミンをいち早く積極的に取り入れ、“クミンキャベツ”や“クミン枝豆”といった、誰にでもつくれるシンプルでおいしいクミン料理を世に送り出してきた。
それまでクミンシードといえば、多めの油で加熱して香りと効能を油に移す “ テンパリング ” によって、カレーなどのスタータースパイスに使われることが多かった。ところが平野さんはまるで胡麻や胡椒みたいに、気軽にパラパラッと料理にふりかけて使う。
「カレーや油を使う料理なら、最初にテンパリングする意味があります。ですが、そうじゃない料理ならわざわざ加熱する必要はありません。 “ キャロット・ラペ ” のようにドレッシングに混ぜるだけ、素材の上にふりかけるだけでも独特のスパイシーな風味が楽しめるんです」
クミンシードはそのまま噛んでも爽やかな芳香があり、中東やインドではマウスウォッシュ代わりにもされるほど。料理にまんべんなくインパクトある香りをまとわせたいなら、仕上げにパウダーをふりかけるといいそうだ。

「クミンのいいところは胡椒のようには辛くないこと。清涼感のある香りと苦味があり、ほのかな辛味もある。単体で使えて、それでいて印象をガラリと変えられるスパイスでもある。ワインとのペアリングもよくて、白、ロゼ、赤、オレンジまで幅広いのが魅力です」

なかでも根菜とクミンとの相性は抜群。根菜の豊かな風味にクミンのスパイシーな香りが加わると、思わずワインがすすんで困るほど。とりあえずの一品からワインのつまみ、いつもの和食、肉料理、締めのご飯まで、クミン尽くしの料理は不思議に飽きがこないのである。

クミンキャベツのつくり方

材料材料 (2人分)

キャベツ1/4個
A
・ オリーブオイル大さじ2
・ 塩小さじ1/3
・ クミン小さじ1/2(シード)
・ クミン小さじ1/2(パウダー)

1キャベツをちぎる

キャベツは手で適当な大きさにちぎる。

2ボウルに入れ、クミンを入れる

1をボウルに入れ、Aを順に加える。

ボウルに入れ、クミンを入れる

3和える

全体を手でよく和える。

和える
クミンキャベツ
キャベツは外葉と内葉を混ぜて使うのが平野さんのおすすめ。 キャベツの甘さを楽しむためにも 冷やさずに食べたいシンプルサラダだ。

教える人

平野由希子 料理家

平野由希子 料理家

フランス料理とワインを愛する料理研究家。日本ソムリエ協会認定ソムリエ。料理教室「cuisine et vin」主宰。ワインバー「8huit.」のオーナーでもある。著書多数。

文:瀬川 慧 撮影:公文美和

※この記事の内容は「技あり!dancyuスパイス」に掲載したものです。

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2020年7月30日発売/800円(税抜き)
瀬川 慧

瀬川 慧 (ライター)

得意分野は料理、ワイン、食文化、旅、歴史など。単行本の企画、編集、執筆に『日本料理 銀座小十』(世界文化社)、『野﨑洋光の野菜料理帳』『里山に生きる「土樂」の食と暮らし』『懐石小室に教わる 一生ものの和のおかず』(家の光協会)、『和食神髄 小室光博』、『「すし」神髄 杉田孝明』(プレジデント社)などがある。