台湾の木柵鉄観音茶の、果物のような芳香を楽しむオリジナルデザート。お茶の香りを封じ込めた寒天を、やさしい甘味の琥珀色のシロップに浮かべて、飲むようにして食べます。ジャスミン茶などの中国茶でも楽しめます。
鉄観音茶の寒天は、内田さんのオリジナル。
「寒天は、現地ではあまり使われない素材ですが、台湾独特の木柵鉄観音茶の芳しい香りを閉じ込めるために使ってみました。さいころ状に切った上から、台湾風にシロップをたっぷりかけて。トッピングに押し麦や緑豆をのせれば、一層、台湾らしくなります」
鉄観音茶の風味がしっかりと効いた寒天は、さいころ状に切って器に盛りつけ、シロップをたっぷりとかける。台湾風のうす甘い琥珀色のシロップは、きび砂糖の甘さの賜。
一口食べれば、たちまち台湾気分。このみずみずしさ、うっすらとした甘さに、誰もが虜になること請け合いだ。
台湾の鉄観音茶(木柵鉄観音)は、特有の芳しい香りが特徴。喉を通った後にほんのり残る後味が、フルーツを思わせる。同じ鉄観音茶でも、大陸の鉄観音茶とは味わいが異なる。
水 | 500ml |
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台湾鉄観音茶葉 | 10g |
粉寒天 | 5g |
きび砂糖 | 15g |
★ シロップ | |
・ 水 | 400ml |
・ 黒砂糖 | 20g |
・ きび砂糖 | 30g |
シロップをつくる。水に黒砂糖、きび砂糖を入れて火にかけ、ひと煮立ちさせて、砂糖が溶けたら火からおろす。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れてよく冷やしておく。
分量の水を火にかけ、沸騰したら茶葉を入れて蓋をし、茶葉が開くまで約5分蒸らす。
2を漉して量を測り、500mlに足りない分は水を加える。
粉寒天を鍋に入れ、水大さじ3 (分量外)で溶かす。
3の鉄観音茶を少量ずつ加えては混ぜ、粉寒天を溶かす。
再び火にかけてきび砂糖を加え、 沸騰するまでゆったりと混ぜる。 沸騰したら火を弱めて、さらに1分混ぜる。
型に流す。写真のバットは22cm ×16cm。そのまま常温に置いて、 冷めて固まったら冷蔵庫へ。
台湾では、かなりポピュラーなデザートのトッピングなのが、ゆでただけの押し麦と緑豆。たっぷり盛っても、シロップと一緒ならぺろりといけてしまうから不思議。もちもちとした押し麦は、台湾人が大好きな食感。緑豆はしばらく水につけてからゆでると、皮が破裂しにくい。
雑誌、書籍、広告などで幅広く活躍中。台湾の食や人に魅せられ、イベントや著作を通して台湾の魅力を発信している。著書に『うちで食べる台湾式ごはん』(マイナビ)、『りんごのかんたんおうち菓子』(主婦と生活社)など。
文:本城さつき 写真:工藤睦子
※この記事の内容はdancyu2013年9月号に掲載したものです。