パクチーというと葉と茎のイメージが強いかもしれませんが、実は「根」もとても使える食材なのです。パクチーの根には旨味がたっぷりとあるので、スープ料理に使うと、だしを加えずともしっかりとした味わいを楽しめます。パクチーが香りだけの食材ではないと感じられる一杯です。
とろみを効かせたれんこんのスープは、体がよく温まるので、風邪気味のときにお薦め。雑炊にしてもおいしいのです。
胡椒と塩をしっかり効かせた鶏肉の団子と、パクチーの根が、だしを使わずとも旨味たっぷりに仕上がるスープの味わいに一役買っています。
れんこんは、半量をすりおろして加えることでスープのとろみになり、半量を叩くことでしゃりしゃりした食感が楽しめます。
日本では、一般的に春か秋に種蒔きをします。芽吹いてすぐはスプラウト状ですが、その後生育するときの気候によって形状が変化。寒い時期に成長すると、地面に沿って放射状に広がっていき、温暖な時期に成長すると、天に向かって伸びていきます。南国のイメージが強いですが、実は冬場にもガッシリとよく育ち、味も濃厚で美味です。
買ってきたパクチーに元気がないときは、全体が完全に浸るようにして、冷水につけましょう。10分もするとしゃきっとしてきます。ただし、浸しすぎても逆効果。日持ちが悪くなってしまいます。パクチーは意外と繊細なのです。
れんこん | 200g |
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鶏挽き肉 | 150g |
A | |
・ にんにくのみじん切り | 小さじ1/2 |
・ 塩 | 小さじ1/3 |
・ 粗挽き黒胡椒 | 小さじ1/2 |
パクチーの根 | 2株分 |
赤唐辛子 | 1~2本 |
水 | 4カップ |
塩 | 小さじ2/3 |
ナムプラー | 小さじ1/2 |
★ 仕上げ用 | |
パクチー | 適宜 |
粗挽き黒胡椒 | 適宜 |
・鶏挽き肉にAをよく混ぜておく。
・パクチーの根は包丁の背などでつぶす。
・仕上げ用のパクチーの葉は摘み、茎はみじん切りにしておく。
れんこんは半量をすりおろし、半量は適当な大きさに切ってから、厚手のポリ袋に入れて、すりこ木などで1㎝程度の大きさになるまで叩く。
分量の水に、パクチーの根と赤唐辛子を入れ、沸騰したら中火にする。
挽き肉を片手で適量つまんで、軽く丸めて落とし入れる。しっかり丸めないことで、肉団子からだしが出やすくなる。全部入れ終わったら2のれんこんを加え、弱火のまま7~8分煮る。
塩とナムプラーで味つけする。器に盛り、パクチーの茎のみじん切りと葉をのせ、粗挽き黒胡椒をふっていただく。
都内の自宅と、神奈川県伊勢原市の菜園を行き来しながら野菜をつくり始めて10年。栽培する品種は年々進化している。合間を縫うようにして食文化研究の旅にも忙しい。
文:植松良枝 写真:邑口京一郎
※この記事の内容はdancyu2013年7月号に掲載したものです。