みんな大好き、鶏のから揚げ。ご飯がススム、ビールもススム。この王道メニューを鶏肉まるごと、いろんな部位でつくってみました。料理家、瀬尾幸子さんの超シンプルレシピをわがものにして、鶏をまるごと食いつくそう!
鶏のから揚げは食卓にあるとみんなが喜ぶ王道のご馳走。そんな「鶏から」をたっぷりおいしく食べるために、一羽まるごと使うレシピを料理家の瀬尾幸子さんに教わった。
まずは揚げ油の準備として、用意したいのが、鶏皮。初めに皮を揚げると、皮の脂が出て風味のついた油になって鶏からはますます旨くなる。サックサクの皮せんべいが、これまた最高のビールの友だ。
そして、まずつくって欲しいのが王道の鶏ももだ。ももはよく運動する部位で引き締まった肉質ながら、適度に脂肪が入るので、火を通してもジューシー。カリッと揚がった皮の部分と、コクのある肉の味わいを同時に楽しめる、鶏からのザ・スタンダード。
鶏皮 | 200g |
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揚げ油 | 適量 |
塩 | 適量 |
鍋に油を入れて火にかける。油の量は鍋の半分から6割程度がベスト。
鶏皮を広げながら入れる。油が温まらないうちから入れても大丈夫。ジワジワ、パチパチと静かに音が立つ程度の低い温度でゆっくりと揚げる。
鶏皮から泡がまったく出なくなり、箸で叩くとコンコンと乾いた音がするようになったら完成。油から引き上げ、塩をふって食べよう。この油を鶏からの揚げ油に使用。鶏皮の脂と香りが溶け出して、よりおいしく出来上がる。
鶏もも肉 | 2枚(500~600g) |
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★ 下味 | |
・ 卵 | 1個 |
・ 醤油 | 大さじ1 |
薄力粉 | 適量 |
揚げ油 | 適量 |
鶏もも肉は、縦3等分に切ってから4cm角に切り、ボウルに入れる。二口で食べられる程度の大きさが目安。
1に溶いた卵、醤油を入れて、手で満遍なく混ぜる。このまま10分置く。
バットなどに薄力粉を入れ、揚げる直前に2の鶏肉に一つずつ丁寧にまぶす。片手で鶏肉を取り、もう片方の手で粉をはたくと作業しやすい。下味の卵が接着剤となり、鶏肉をコーティングして、水分を閉じ込めてくれる。鶏肉についた余分な粉を落としてからフライパンに入れると油汚れを最小限にできる。
揚げ油を火にかける。温まったかな?というところで、まずは鶏肉を一つ、“いけにえ”として投入。“いけにえ”がシュワシュワ、パチパチと音を立てる状態になったら、残りの鶏肉を鍋いっぱいに入れられるだけ入れる。一気に油の温度が下がるので、少し火力を強くする。再び、油の温度が上がってきたら、中火にして170°Cくらいを保つ。
鍋の中には温度の高いところと低いところがあるので、鶏肉の表面が固まったら、箸で全体を大きく混ぜながら揚げるといい。鶏肉の中心まで温まると、比重が軽くなって浮き上がってくる。ここが揚げ上がりのタイミング。引き上げてキッチンペーパーの上などで油をきり、器に盛る。好みでレモンを添えてもいい。
低温からじっくり、最後は高温で揚げることで、サクッとふわっとジューシー。冷めても旨いから揚げをつくることができる。
酒呑みのバイブル『おつまみ横丁』(池田書店)の著者である料理研究家。シンプルなレシピから繰り出されるミラクル。騙されたと思ってつくってみてください。
文:鹿野真砂美 写真:土居麻紀子
※この記事の内容はdancyu2014年3月号に掲載したものです。