料理研究家の坂田阿希子さんに教わったのは、表面の割れ目がトレードマークの“昔ながら”のドーナツ。材料を混ぜ合わせるときのポイントは、空気を含ませるように卵液を混ぜること。このひと手間でサクサクした食感に仕上がる。団子状に丸めてもいいけれど、穴の開いたドーナツに挑戦しよう!
「ドーナツは好き?」と聞かれたら、「大好き」と答える。手の込んだ菓子ではないけれど、目の前にあるとついつい手が伸びる。母親が揚げてくれた懐かしい味を思い出し、ならば家でつくってみようと、料理研究家の坂田阿希子さんのもとへ。
坂田さんのドーナツは、食感にこだわったレシピだから、サクッとして優しい味。コツは“分量をきちんと計る”と“根気よく生地をまとめる”、そして“じっくり揚げる”の3点。うわ~、大変と思ったが、オールドファッションの生地は、少々乱暴に扱っても失敗しない。あとは揚げるだけ。
「揚げたてのドーナツは格別。自分でつくるからこそ味わえる特権ですね。ぜひ挑戦してください」
ドーナツのお供にはやっぱりコーヒー。これまた懐かしの、ちょっと薄めのアメリカンがよく合う。
A | |
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・ バター | 30g(食塩不使用) |
・ ショートニング | 10g |
グラニュー糖 | 70g |
卵 | 1個 |
塩 | 2g |
バニラエッセンス | 2~3滴 |
B | |
・ 薄力粉 | 230g |
・ ベーキングパウダー | 8g(小さじ2) |
牛乳 | 大さじ3 |
揚げ油 | 適量 |
バターは室温に戻す。卵を溶きほぐす。Bを合わせ、ふるう。
ボウルにAを入れ、ゴムベラで柔らかくなるまで練る。グラニュー糖の半量を加え、すり混ぜる。
グラニュー糖から水分が出て混ぜやすくなったら泡立て器に替え、白っぽくなるまでしっかり混ぜ合わせる。
溶きほぐした卵を少しずつ加えて混ぜる。同様に二、三度繰り返すと、水分を含んで分離したような状態になる。
ここでBの粉大さじ1を入れて水分を吸収させ、空気を入れるように混ぜる。空気を含ませることで、サクッとした生地に仕上がる。
残りのグラニュー糖、塩、バニラエッセンスを加え、さらに混ぜ合わせる。
残りのBを加え、ゴムベラで切るように混ぜる。生地が粉でモロッとしたら、牛乳を加えて押しつけるように混ぜ合わせる。
ひとまとまりになったら、さらに手で丸める。ラップで包み、冷蔵庫に入れて約1時間休ませる。
打ち粉(分量外の薄力粉)をした台に8を取り出し、麺棒で叩くようにしながら、厚さ1.5cmまでのばす。
ドーナツ型に薄力粉(分量外)をたっぷりまぶし、生地に押しつける。生地がくっつくので、型にはその都度粉をまぶすこと!ドーナツ型がない場合はコップとペットボトルの蓋で代用。
型抜きした生地は再度丸めてのばし、同じように全部で8個分を抜く。
フライパンに揚げ油を中火にかけ、170度に熱する。揚げ油に生地を2~3個ずつ入れる。生地が膨らむので、ドーナツの穴に菜箸を入れてグルグル回し、穴がふさがるのを防ぐ。
下の面がきつね色になったら、裏返して同様に揚げる。揚げ始めは生地が柔らかいので、網杓子で支えながら上下を返そう!
フランス菓子店やフランス料理店で経験を重ね、独立。料理教室「studioSPOON」を主宰しつつ、昨秋、代官山に「洋食KUCHIBUE」をオープン。フランス料理やエスニック料理などジャンルを飛び越えておいしいものへの探究心が旺盛で、プロの手法と自らの経験を活かした生命力あふれる料理にファン多し。
文:石出和香子 写真:馬場わかな
※この記事の内容はdancyu2015年4月号に掲載したものです。