旬の野菜の知恵袋。
セリと梅が香る豚肉焼きそばはいかが?

セリと梅が香る豚肉焼きそばはいかが?

春の気配と共に旬を迎えるセリ。室町時代から伝わる調味料の煎り酒と組み合わせます。セリと梅の香りが高め合い、食べ進める箸が止らなくなります。

セリの香りを引き立てる。

旬を迎えたセリは刻んでお吸い物に加えるだけで、爽やかな香りがふわ~っと立ち上り、春を感じられます。白和えなどにしても、胡麻がセリの食感と香りを引き立てるので、和食では定番の調理法です。
きりたんぽ鍋やそばのような甘辛い味わいのダシとの相性も言わずもがなですが、意外にバターや発酵調味料の強い香りと合わせてもセリの個性は光るので、ふだんの家庭料理にぜひ気軽に加えてみてください。魚の刺身に生のまま刻んで添えたり、パスタに加えてみたりと自由な発想で試してみても新しい発見があるはずです。

芹
炒めものの仕上げにセリを加えるだけでも、グッと春らしい爽やかな風味が増します。

セリの下半分、太くて立派な茎根はじっくり加熱すると香りが立ってくる部分です。
同じ料理で茎と葉を使うときは、時間差で加えて合わせるひと手間を忘れてはいけません。セリの魅力はシャキッとした瑞々しい食感なのですから。
今回はセリを焼きそばに加えてみましょう。食べ慣れた休日の昼食がグッと上品になって、おもてなし料理に変わります。味付けには、梅酢、昆布、だし汁、味醂などでつくる煎り酒を使います。

煎り酒
室町時代から醤油の代わりとして使われてきた煎り酒。もとは日本酒に梅を入れて煮詰めたものでした。

野生味がありながらも上品な香りを放つセリと、酸味のある梅の香りがお互いを高め合い、焼きそばが爽やかな味わいに仕上がります。
煎り酒は手づくりすると、冷凍でストックもできるので野菜の香りを引き立ててくれる調味料として大活躍です!

芹の根
セリの食感と香りを活かした焼きそばです。食べ応えもたっぷり。

セリと梅が香る焼きそばのつくり方

材料材料 (2人分)

焼きそば蒸し麺2玉
セリ120g
小ねぎ4本
豚肉100g
赤ピーマン1個
生姜1片
小さじ2
胡麻油小さじ2
適量
胡椒適量
煎り酒
・ 梅干し1個
・ 昆布1枚(3cm四方)
・ 日本酒200ml
・ 鰹だし200ml
・ 白梅酢100ml
・ 味醂45ml
材料
煎り酒は通販などでも手に入れることができます。
芹
煎り酒の材料。梅干しは甘味のないものを選びましょう。

下準備煎り酒をつくる

鍋に昆布、日本酒を入れて中火にかける。ひと煮立ちしたら、鰹だしと白梅酢、味醂を加えて半分の量になるまで煮詰める。火を止めたら種をとった梅をほぐし入れて、あら熱がとれたら瓶などに入れて保存する。

煎り酒をつくる
昆布は火を付ける前から入れておくと、旨味がよく出ます。
煎り酒をつくる
梅干しは風味が出るようにほぐしてから加えます。

1具材を切る

セリと小ねぎは3〜4cmの長さ、赤ピーマンと生姜はせん切りにする。

具材を切る
具材の長さを揃えると、美しく仕上がります。

2麺を焼く

焼きそば麺に沸かした湯をまわしかけてさっとほぐし、水気をとっておく。
フライパンで油を中火で熱し、焼きそば麺を広げる。焼き色がつくまで香ばしく焼いたら、いったん取り出しておく。

麺を焼く
ザルに入れた麺に湯を回しかけると、よくほぐれます。
麺を焼く
焼き目は仕上がりの香ばしさになるので、しっかり焼きつけましょう。

3豚肉を炒める

フライパンで豚肉を中火で炒め、塩胡椒をふり生姜を加える。セリの茎、小ねぎ、赤ピーマンを加えて柔らかくなるまで炒め合わせたら、セリの葉も入れて煎り酒小さじ2で味付けする。焼きそば麺を加えて、塩胡椒で味を整えたら皿に盛り付ける。

豚肉を炒める
豚肉に生姜の香りを移すように炒めます。
豚肉を炒める
野菜に火が通ると水分が出てきます。
豚肉を炒める
葉を加えたら火が通り過ぎないように素早く味付けします。
豚肉を炒める
混ぜ合わせるときは麺に具材を巻き込むように。
豚肉を炒める
湯気と共にセリと梅酢が香って食欲倍増です!

文:植松良枝 写真:宮濱祐美子

植松 良枝

植松 良枝 (料理研究家)

四季に寄り添った食と暮らしを提案する料理研究家。菜園での野菜づくりがライフワーク。春夏秋冬それぞれの季節が極まり、次の季節の準備期間である「土用」を暦の中でも特に大切にしている。一児の母となり、忙しい日々の中で家族への想いも増してさらに深く土用を考えるようになった。