春の気配と共に旬を迎えるセリ。室町時代から伝わる調味料の煎り酒と組み合わせます。セリと梅の香りが高め合い、食べ進める箸が止らなくなります。
旬を迎えたセリは刻んでお吸い物に加えるだけで、爽やかな香りがふわ~っと立ち上り、春を感じられます。白和えなどにしても、胡麻がセリの食感と香りを引き立てるので、和食では定番の調理法です。
きりたんぽ鍋やそばのような甘辛い味わいのダシとの相性も言わずもがなですが、意外にバターや発酵調味料の強い香りと合わせてもセリの個性は光るので、ふだんの家庭料理にぜひ気軽に加えてみてください。魚の刺身に生のまま刻んで添えたり、パスタに加えてみたりと自由な発想で試してみても新しい発見があるはずです。
セリの下半分、太くて立派な茎根はじっくり加熱すると香りが立ってくる部分です。
同じ料理で茎と葉を使うときは、時間差で加えて合わせるひと手間を忘れてはいけません。セリの魅力はシャキッとした瑞々しい食感なのですから。
今回はセリを焼きそばに加えてみましょう。食べ慣れた休日の昼食がグッと上品になって、おもてなし料理に変わります。味付けには、梅酢、昆布、だし汁、味醂などでつくる煎り酒を使います。
野生味がありながらも上品な香りを放つセリと、酸味のある梅の香りがお互いを高め合い、焼きそばが爽やかな味わいに仕上がります。
煎り酒は手づくりすると、冷凍でストックもできるので野菜の香りを引き立ててくれる調味料として大活躍です!
焼きそば蒸し麺 | 2玉 |
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セリ | 120g |
小ねぎ | 4本 |
豚肉 | 100g |
赤ピーマン | 1個 |
生姜 | 1片 |
酒 | 小さじ2 |
胡麻油 | 小さじ2 |
塩 | 適量 |
胡椒 | 適量 |
煎り酒 | |
・ 梅干し | 1個 |
・ 昆布 | 1枚(3cm四方) |
・ 日本酒 | 200ml |
・ 鰹だし | 200ml |
・ 白梅酢 | 100ml |
・ 味醂 | 45ml |
鍋に昆布、日本酒を入れて中火にかける。ひと煮立ちしたら、鰹だしと白梅酢、味醂を加えて半分の量になるまで煮詰める。火を止めたら種をとった梅をほぐし入れて、あら熱がとれたら瓶などに入れて保存する。
セリと小ねぎは3〜4cmの長さ、赤ピーマンと生姜はせん切りにする。
焼きそば麺に沸かした湯をまわしかけてさっとほぐし、水気をとっておく。
フライパンで油を中火で熱し、焼きそば麺を広げる。焼き色がつくまで香ばしく焼いたら、いったん取り出しておく。
フライパンで豚肉を中火で炒め、塩胡椒をふり生姜を加える。セリの茎、小ねぎ、赤ピーマンを加えて柔らかくなるまで炒め合わせたら、セリの葉も入れて煎り酒小さじ2で味付けする。焼きそば麺を加えて、塩胡椒で味を整えたら皿に盛り付ける。
文:植松良枝 写真:宮濱祐美子