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三重「味噌凝縮雑煮」&広島「牡蠣雑煮」&香川「白味噌にあん餅」

三重「味噌凝縮雑煮」&広島「牡蠣雑煮」&香川「白味噌にあん餅」

お雑煮探求は尽きることのない宝探しです。出身地が異なる人が集まる場所で、お雑煮話をしたら「え~~!」と驚き、「ウチはね!」とそれぞれ語らずにはいられなくなり、すごく盛り上がっちゃいます。ご当地雑煮の魅力にハマった粕谷浩子さんが著した『お雑煮マニアックス』より、一部を抜粋してご紹介。今回は赤味噌仕立ての三重と、広島の縁起のよい牡蠣雑煮、香川の味噌ベース雑煮をつくります。

三重の「味噌凝縮雑煮」は、赤味噌雑煮の極めつけ

味噌凝縮雑煮

「味噌凝縮雑煮」のつくり方

材料材料 (2人分)

角餅2個
濃縮味噌汁200ml
★ 濃縮味噌汁のつくりやすい分量
・ 赤味噌大さじ5
・ だし1L(鰹、昆布)
・ 大根1/2本
・ 里芋6個
・ みりん大さじ3

1濃縮味噌汁をつくる

鍋にだしと輪切りにした大根、里芋、みりんを入れて20分煮込む。味噌を加えて濃縮させるべく、弱火で煮込む。最初の量の2/3くらいになり、真っ黒になったら完成。

2汁をつくる

濃縮味噌汁を具ごと別の鍋に入れ、水100mlを入れて温める。

3餅を焼いて盛りつける

餅を焼いてお椀に盛り、2を入れる。

煮詰めた味噌汁を希釈して三が日の食卓へ
とろりと赤黒い汁につかる大根、里芋、そして角餅。
度肝を抜かれるビジュアルですが、これは津市を中心とした中勢地域の農村では、家事の時短のために日常的に濃縮味噌汁を作る習慣があったのだとか。

気になる味は見た目よりもマイルドで、汁物より煮物に近い感覚。
いろどりに青菜を加えたくなりますが、菜っ葉は「泣(菜)く」につながり縁起が悪いため、加えないそうです。

ただし、三重県でも愛知に隣接した桑名など北勢地域では、青菜は「名(菜)をあげる」縁起のよい食材に。
この地域では名古屋雑煮と同じくシンプルなすましタイプの汁に青菜を入れただけの、味噌凝縮雑煮とは対照的なお雑煮を食べているのが面白いところです。

広島の「牡蠣雑煮」は福をかき寄せます

牡蠣雑煮

「牡蠣雑煮」のつくり方

材料材料 (2人分)

丸餅4個
だし400ml(昆布)
牡蠣4個
せり1株
薄口醤油大さじ1
適量

1具材の下ごしらえ

牡蠣はかるく湯通しする。にんじんは輪切り、大根はいちょう切りにして下ゆでする。せりはかるくゆでてから、食べやすい長さに切る。

2餅を煮る

鍋で餅を柔らかくなるまで煮る。

3雑煮をつくる

別の鍋にだしを入れ、にんじん、大根、牡蠣を入れて煮る。薄口醤油、塩、餅を加えかるく煮る。

4盛りつける

3をお椀に盛り、せりをのせる。

牡蠣は「賀来」。福をかき寄せてくれる縁起物
私の父が広島出身で、正月に祖父母の家に行くとこの牡蠣のお雑煮でした。
広島は、牡蠣の生産量が日本一であり、正月時期の牡蠣は、おいしさの元となるグリコーゲンが大量に蓄えられているため最もおいしい旬の時期。
牡蠣のエキスがだしに出てこれまたおいしくてたまらんのです。
地のものの旬が正月に重なるのだから、お雑煮の具材に使われるのはごくごく自然なことですよね。

牡蠣は「賀来」の字を当てて、「福をかき寄せる」と縁起をかついでいます。
広島県内のお雑煮は、正月を祝う贅沢な素材を使っている地域が多くみられ、出世魚のブリやハマグリ、アナゴなどの素材を使う地域も。
同じく縁起物のスルメを入れている地域も多いです。スルメが入ると、ぐんとだしに旨みが増します。
広島もやはり、これが広島の雑煮です!というのが難しいほど個性豊かなご当地雑煮がひしめいており、お雑煮の多様性を表している地域です。

香川の「白味噌あん餅雑煮」

白味噌あん餅雑煮

「白味噌あん餅雑煮」のつくり方

材料材料 (2人分)

あん餅2個
だし400ml(いりこ)
里芋2個(小)
金時にんじん4枚(輪切り)
大根2枚(輪切り)
白味噌60~65g
アオサ適量

1具材を煮る

だしで、皮をむいた里芋、金時にんじん、大根を煮る。

2あん餅を加える

1にあん餅を投入。柔らかくなるまで煮たら、白味噌を溶き入れる。

3盛りつける

お椀に2の中の大根をあん餅の座布団として敷いて盛りつけ、最後にアオサをのせる。

甘~いあんこがいりこのきいた白味噌に溶けて……
甘いあん餅がいりこだしと白味噌の汁の中で溶けている、ちょっと変わったお雑煮として有名。
「味が想像できない」と言われますが、一度食べてみてください。
香川の老若男女が好んで食べているのですから、まずいわけないんです。ハマりますよ。

さて、何であん餅をお雑煮に使うようになったのかと言うと、そこには歴史があります。
高松藩は「和三盆」を特産品として奨励していましたが、つくっている庶民たちには手の届かない高嶺の花でした。
そこで、「正月くらい食べたい、餅の中にあんこを入れて隠してしまえ!」と餅に入れたのがあん餅雑煮の所以と言われています。
藩に見つかったときの対策として、砂糖ではなく塩入りのあん餅までつくったと言うから用意周到ですね。

白味噌仕立てですが、四国らしくいりこだし。
同じ白味噌と言えども関西圏とはまったく風味が違います。
あん餅雑煮には断然いりこだしが合うよなぁ、と私は思います。

ーー明日につづく。

お雑煮マニアックス
お雑煮マニアックス
B5変型判( 104 頁)
ISBN:9784833475624
2016年11月28日発売 / 1,100円(税込)
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文:粕谷浩子 写真:大塚七恵

粕谷 浩子

粕谷 浩子 (お雑煮研究家、料理研究家)

1972年生まれ。株式会社お雑煮やさん代表。お雑煮の魅力に取りつかれ、日本各地の雑煮事情を知るべく、銭湯でおばあちゃんたちに聞き込みを開始。レシピを聞き出し、あわよくばご馳走してもらいながら情報収集を続けている。夢は、日本のみならず世界にお雑煮マーケットをつくること。