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北海道「揚げ餅玉ねぎ雑煮」&岩手「宮古くるみ雑煮」&茨城「常陸太田雑煮」。

北海道「揚げ餅玉ねぎ雑煮」&岩手「宮古くるみ雑煮」&茨城「常陸太田雑煮」。

「お雑煮」とひと言でいっても、そのかたちは家や地域によってさまざま。お雑煮の魅力に取りつかれ、お雑煮を調べ始めて、「ご当地雑煮の魅力発見!」ともいえるムック『お雑煮マニアックス』を著した粕谷浩子さん。歩いて、聞き込んで収集した全国のおいしいお雑煮レシピとその背景にある物語を、一部を抜粋して紹介していきます。今回は北海道のオニオンスープ風お雑煮が、岩手と茨城からは甘~いお雑煮が登場です!

北海道の 「揚げ餅玉ねぎ雑煮」は、オニオンスープ+揚げ餅

揚げ餅玉ねぎ雑煮

「揚げ餅玉ねぎ雑煮」のつくり方

材料材料 (2人分)

角餅2個
玉ねぎ1/2個(中)
めんみ50ml
※北海道限定のめんつゆで、鰹節、煮干し、昆布、さば節、ホタテの5種のだしが入る。
「めんみ」がない場合、市販のめんつゆにスルメや干し貝柱を入れると風味がよい
300ml
砂糖小さじ2
揚げ油適量

1玉ねぎを切る

玉ねぎは、くし形切りにする。

2煮込む

めんみと水で玉ねぎを煮込む。

3味を調える

砂糖を加えて味を調える。

4餅を揚げる

餅はふたつにきって、160~170℃くらいの温度の油でじっくり揚げる。

5盛り付ける

3と4をお椀に盛りつける。

開拓団のお雑煮が混ざり合い、独自にカスタマイズ
揚げ餅玉ねぎ雑煮はお餅を揚げることによってスープにコクが出て、やみつきになりそうなお雑煮。オニオングラタンスープならぬオニオン餅スープのような味わいです。
もともと日本各地からの開拓団が集まって形成されている地域ですから、お雑煮もいろいろな種類のものが混在しています。
このお雑煮を教えてくれた方の先祖は石川県出身だったらしく、具材をあまり入れないシンプルタイプです。石川県では万能ねぎを入れますが、北海道で名産の玉ねぎに変化したのでしょう。

北海道の一般的な特徴として汁物に共通するのは「甘いこと」。
汁にみりんではなく砂糖を加える家が多いです。
私が小さい頃北海道に住んでいたとき、給食の味が香川出身の母の味とあまりにも違うので驚いたことを覚えています。

ほかに海辺の地域では昆布が入っていたり、イクラがのっていたりします。
函館のお雑煮も昆布とイクラ入りです。

岩手の「宮古くるみ雑煮」は甘~いくるみだれ付きです

宮古くるみ雑煮

「宮古くるみ雑煮」のつくり方

材料材料 (2人分)

角餅2個
だし400ml(煮干し)
高野豆腐1枚
大根3~4cm
にんじん1/4本
ごぼう1/4本
鶏もも肉50g
せり適量
イクラ適量
醤油大さじ1と1/2
少々
★ くるみだれ
・ くるみ60g
・ 砂糖30g

1具材を切る

高野豆腐は水で戻して大根、にんじんとともに千切り、ごぼうはささがきにして水にさらす。鶏肉は小さめに切る。

2具材を煮込む

鍋にだしを入れて温め、1を入れて火を通す。醤油、塩を入れ、せりを加える。

3くるみだれをつくる

くるみ60gをフライパンでから煎りして、すり鉢にあけて砂糖30gを加えてよくすりつぶし、お雑煮のだしを大さじ1と1/2加え、白濁したくるみだれにする。

4餅を焼いて仕上げる

餅を焼いてお椀に盛りつけ、2を入れてイクラをのせる。3をそえる。

「餅好き」伊達藩の文化圏では今も餅をよく食べる
岩手県全域でお餅に「くるみだれ」はよくトッピングされるけれど、宮古地域では、お雑煮のお餅を取り出してくるみだれにつけて食べる風習があるそうです。
確かによく合うんですよね。

汁自体も具だくさんで、イクラまでのっている豪華さなのですが、そこにさらに「くるみだれ」も加わり、お正月を祝う感じが増します。
何と言っても、甘い「くるみだれ」がおいしい。
絶対に女子ウケするタイプのお雑煮です。

岩手の中でも伊達藩だったところには独自の餅文化があります。
お雑煮以外にもお餅をたれにつけて食べる風習があり、お正月だけでなく結婚式や節目の行事などで振る舞われてきました。
たれもくるみのほか、ごま、小海老、納豆、大根、あんこなどさまざまなものがあります。
とくに一関は餅食文化で有名な地域で、お雑煮も数ある餅料理の一つ、という位置付けです。

茨城の「常陸太田雑煮」はまるで豆腐スイーツ

常陸太田雑煮

「常陸太田雑煮」のつくり方

材料材料 (2人分)

角餅2個
木綿豆腐半丁
だし400ml(昆布)
白味噌大さじ1
砂糖大さじ1
少々

1木綿豆腐と白味噌をすりつぶす

すり鉢に木綿豆腐と白味噌を入れ、白和えの要領でよくすりつぶす。しっかりトロトロになるまですりつぶすほうがおいしい。

2汁をつくる

だしを鍋で温める。1を加え、砂糖と塩で調味する。

3餅を焼き、盛り付ける

餅を焼き目がつかない程度に焼いてお椀に入れ、2を注ぐ。

すまし主流の関東雑煮圏内にこんな変わり種も
真っ白で、まるで豆腐スイーツのような常陸太田市のお雑煮。地元の人たちは、これを「豆腐餅」あるいは「べったら餅」と呼んでいるようです。

これは常陸太田市の旧久慈郡水府村、里見村地域のお雑煮。
白味噌を加えずに食べる家庭もありますが、砂糖を足して甘く味が調えられているから、ちょっとした豆腐スイーツのような感覚です。
少し塩分を加えているので、甘じょっぱくもあります。

お雑煮は、よその地域でも、あんこや黒砂糖など、塩分を加えて甘じょっぱい味にしてあるものが多くあります。
正月というハレの日に、昔で言えば贅沢品である砂糖を加えたくなるのが人の倣いなのでしょうか。
そして、この味わい、ハマるのですよ。

茨城県は、全般的には関東雑煮圏内であり、すまし仕立てのシンプルなタイプのお雑煮が主流ですが、中にはこんな個性的なお雑煮もあるんですね。

ーー明日につづく。

お雑煮マニアックス
お雑煮マニアックス
B5変型判( 104 頁)
ISBN:9784833475624
2016年11月28日発売 / 1,100円(税込)
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文:粕谷浩子 写真:大塚七恵

粕谷 浩子

粕谷 浩子 (お雑煮研究家、料理研究家)

1972年生まれ。株式会社お雑煮やさん代表。お雑煮の魅力に取りつかれ、日本各地の雑煮事情を知るべく、銭湯でおばあちゃんたちに聞き込みを開始。レシピを聞き出し、あわよくばご馳走してもらいながら情報収集を続けている。夢は、日本のみならず世界にお雑煮マーケットをつくること。